「谷間に描く曲線美」「列車が吊橋を走る」!? 実は“特殊”な鉄道の橋を観察 空からも姿が映える!

半導体開発「モア・ムーア」とは

日本の鉄道には様々な橋梁がありますが、設置する場所の環境によって特殊な構造を採用する場合もあります。今回はアーチ橋、狭隘地、海に架かる橋梁を上空観察します。

国内の現役鉄道アーチ橋は2本のみ

 鉄道の橋梁(きょうりょう)は上空から観察すると、構造と設置された環境がよく分かります。数多(あまた)ある橋梁から、今回はアーチ橋、狭隘池の架橋、海に架かる橋梁を紹介します。橋梁の詳細は専門的な文献に譲るとして、ここでは空から見た橋梁の構造美を楽しみます。

 アーチ橋は端的に言えば曲線で構造物を支える橋です。優美な弧を描く姿で人々の目を楽しませ、架橋した場所に景観美を与え、アーチ橋そのものが名所となる場合もあります。JR只見線の第一只見川橋梁(福島県三島町)は、国内はもとより世界中の人々が集まる名所となっています。

 第一只見川橋梁は只見線の前身、鉄道省川口線の時代の1938(昭和13)年に架橋されました。線路は奥会津の山々へ分け入るように敷設され、会津若松駅起点43.88km地点、現在の会津桧原~会津西方間の只見川にアーチ橋を架けました。橋は只見川に対して約50度斜めへの架設となり、当時はまだ電源開発によるダム建設以前であり、只見川もV字状の急峻な谷を形成していました。そのような環境からアーチ橋が採用されたとのことです。

 第一只見川橋梁の場合は、鋼アーチ橋となります。鋼アーチ橋は鋼材の組み方によって名称があり、この橋梁は「スパンドレルブレーストバランストアーチ」という種類です。ベースとなる中央径間アーチの左右にアーチを組み、合計3径間とすることでバランスを保つもの。三つのアーチが谷間に弧を描いています。

 スパンドレルブレーストバランストアーチは鉄道アーチ橋ではかなり少数派で、現役はこの第一只見川橋梁と、南阿蘇鉄道の第一白川橋梁(熊本県南阿蘇村・大津町)のみです。戦後にダム湖となった只見川は満面の水を見せ、3連続の鋼アーチと奥会津の山深い自然が織りなす絶景は、SNS時代に世界中から観光客が追い求めてきます。

 次に、海を渡る鉄道としてすぐに思い浮かべるのは、青函トンネルと関門トンネル、そして瀬戸大橋でしょう。他には、近鉄志摩線の志摩神明~賢島間の賢島へ渡る橋梁や、元々海だった埋立地を結ぶ路線なども、広い意味では海を渡る鉄道に当てはまりますね。

 瀬戸大橋は瀬戸内海をまたいで本州と四国を結ぶ橋梁群で、1988(昭和63)年に開通。上部が道路、下部が鉄道という二段構造で、世界一長い鉄道道路併用橋としてギネス記録にもなっています。

 橋は櫃石島、岩黒島、羽佐島、与島、三つ子島を、吊橋、斜張橋、コンクリート橋(PC橋)、トラス橋で結びながら渡っていきます。下津井瀬戸大橋(吊橋)、櫃石島橋(斜張橋)、岩黒島橋(斜張橋)、与島橋(トラス橋)、北備讃瀬戸大橋(吊橋)、南備讃瀬戸大橋(吊橋)の計6橋で構成されています。

 瀬戸大橋は道路が桁の上部を通るため道路橋に見えますが、桁の下部にはJR四国の本四備讃線の線路が敷設されています。瀬戸大橋の一部の橋梁は、吊橋を列車が通過するという他の鉄道橋梁にはない光景が見られます。

空撮では橋梁そのものが巨大なため、列車は小さく目立ちませんが、鉄道道路併用橋の雰囲気は掴めたと思います。日本にはまだまだ特徴的な構造の橋梁があり、トンネルや線形といった鉄道施設全体を見ても興味が尽きません。