報道により「ラファール」戦闘機の次世代型「ラファールF5」の開発費用をフランスが単独で負担する方針であることが明らかになりました。どうしてそうなってしまったのでしょうか。
最新鋭のラファール開発はフランス単独に
「ラファール」戦闘機の次世代型「ラファールF5(以下:F5)」の開発費用をフランスが単独で負担する方針であることが、4月初旬のフランスメディア報道で明らかになりました。
F5の開発計画は当初、アラブ首長国連邦(UAE)からの資金提供を想定しており、UAE側から最大35億ユーロ(約6475億円)の拠出が見込まれていました。資金提供の見返りについては公式には明らかにされていませんが、既に発注済みのUAE向けラファールの将来型アップデートや、F5の優先配備などの権利が含まれていたと推測されます。
しかし、この契約はエマニュエル・マクロン大統領のアブダビ訪問中に表面化・激化した問題が決定打となり、2025年末までに破談となりました。詳細は明らかではありませんが、F5の技術をどの程度UAEに公開するかをめぐる対立が背景にあった可能性が高いとされています。
そもそもただの「戦闘機」ではないことが大変?
F5は従来型ラファールの単なるアップグレードにとどまらず、次世代戦闘機として大幅に機能強化されています。具体的には、次世代空対地核ミサイル「AS4G(第4世代空対地核ミサイル)」の運用能力付与、高性能電子戦システムの搭載、無人航空機との連携などが計画されており、同戦闘機と連携する新型ステルス無人戦闘機の開発も進められています。
さらにF5は、ドイツやスペインと共同で進めているものの停滞が指摘される第6世代戦闘機プロジェクト「FCAS(フューチャー・コンバット・エア・システム)」の中継ぎ的な役割も担っており、2030年代までの本格稼働を目指しています。そのため、開発は急務であり、資金確保の一環として、準パートナーポジションでUAEにも協力を求めていました。
一方、F5はフランス軍にとって極めて重要な戦力であり、単なる制空・地上攻撃用の戦闘機ではなく、フランスの核戦力の一翼を担う戦略兵器でもあります。自国の核戦略に直結するため、多くの技術をブラックボックスとして維持する必要があり、フランスがUAEに提供できる情報や技術には制限があったことが、UAE側の不満につながった可能性があります。
なお、この問題はFCASの遅延でも指摘される課題のひとつで、通信・指揮系統や電子戦システムの一部ブラックボックスをめぐり、ドイツ側のエアバスとフランス側のダッソー・アビアシオンの間で対立が生じている原因の一つとされています。
ただし、ラファールの技術はすべてダッソーが保有しており、F5の開発はフランス国内のみで完結可能です。とはいえ、予定していた資金援助が得られないことで国防予算に圧迫が生じ、場合によっては開発期間がやや遅れる可能性があります。