激化する宇宙開発競争=米中、月面覇権で攻防

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 【ワシントン時事】米航空宇宙局(NASA)は米東部時間10日(日本時間11日)、国際月探査「アルテミス計画」の第2弾ミッションを成功させた。米中の宇宙開発競争が激化する中、トランプ米政権はこれを足掛かりとして、宇宙飛行士の月面着陸で中国に先行することを目指している。
 ◇「月にとどまり続ける」
 「目標は月に旗を立て、足跡を残すことではない。そこにとどまり続けることだ」。NASAのアイザックマン長官は「アルテミス2」の打ち上げを控えた3月、こう強調した。「われわれは第2次宇宙開発競争に勝利する」とも訴え、中国への対抗意識をむき出しにした。
 米国は冷戦時代に旧ソ連と競い、1969年には人類初の月面着陸を成功させた。しかし、国民の関心低下と費用膨張を受け、72年を最後に有人月探査は途絶した。アルテミス計画では月面再訪後には月面基地を建設し、長期的に滞在することを目標としている。
 ただ、民間企業が担う月着陸船の開発に遅れが生じており、計画が予定通り進められるかは不透明だ。アイザックマン氏はトランプ大統領任期中の2028年までに月面再着陸を成し遂げたい考えだが、予断を許さない状況だ。
 ◇月の資源開発に着目
 米国が月面再着陸を急ぐのには理由がある。月の南極付近の地中には水資源があるとみられており、先行すれば資源開発で主導権を握れるという思惑があるためだ。
 一方、「宇宙強国」を掲げる中国は30年までに自国の宇宙飛行士の月面着陸を目指している。今年2月には新型の月探査ロケット「長征10号」や新型有人宇宙船「夢舟」の試験に成功。今年後半には無人探査機を月の南極付近に着陸させる予定で、着々と実績を積み上げている。
 議会や政権に左右されがちな米国と違い、共産党一党支配の中国は着実な宇宙開発を進めている。特に月着陸船を巡っては中国が米国に開発で先行しており、将来的な月探査計画で米国を逆転する可能性があると指摘される。
 米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)のオードリー・シェイファー氏は「『最初に到達する』という短距離走と、『とどまり続ける』というマラソンを混同してはならない」と指摘。月面着陸での先行に固執する米国に長期的視点を持つよう訴えた。 
〔写真説明〕10日、米西部カリフォルニア州沖の太平洋に着水した航空宇宙局(NASA)の有人宇宙船「オリオン」=NASAの中継映像より(AFP時事)