日本の空の定時運航に、変化がみられます。羽田などの混雑空港で遅延が目立つ背景には、地上作業の人手不足や手続きの変化といった、構造的な問題が影響している可能性があるのです。その理由は何でしょうか。
空のピットクルー不足か 地上の人手不足がフライトを遅らせる背景
かつては高い水準で推移してきた日本の旅客機の定時性ですが、近年は羽田空港のような混雑空港でも遅延が話題になることが増えています。なぜなのでしょうか。
国土交通省が公表している「航空輸送サービスに係る情報公開」では、航空会社ごとの遅延率や欠航率などが示されています。公表回によっては前年同期と比べて遅延率が上がっているケースもあり、現場の厳しさがうかがえます。
その背景として、国土交通省でも重要課題として挙げられているのが、「グランドハンドリング」(地上支援業務)の人材確保です。彼らは飛行機の誘導や手荷物の搭降載、機内清掃など、出発までの地上作業を担う、いわば“空のピットクルー”です。
しかし、この人員が不足すると、手荷物の取り扱いや機内清掃といった地上作業を所定の時間内に収めにくくなり、その遅れが出発時刻へ影響しやすくなるとされています。
どんなに優れた機体やパイロットであっても、地上の準備が整わなければ出発することはできません。
現在は、特定技能外国人などの受入れに関する制度の周知が進められるなど、人材確保策が講じられていますが、現場の体制強化が依然として求められている状況です。
手荷物と混雑が生む遅延のドミノ倒し 混雑空港のスケジュールと仕組み
さらに、訪日外国人客(インバウンド)の増加も、空港の現場に新たな負荷を与えている可能性があります。
訪日客の増加によって手荷物や各種手続きの負荷が高まり、状況によってはそれらの処理に時間を要して、出発準備に影響するケースが出ているのです。
また、羽田空港のような混雑した空港特有の「連鎖構造」も無視できません。
1便ごとのスケジュールが非常に密接に組まれているため、前の便の遅れがそのまま後続の便に波及しやすい構造があります。
遅延理由のひとつとして、到着した機体を次の便へ回す段取りが遅れる「機材繰り」が挙げられており、わずかな遅れが後続便へ波及し、ドミノ倒しのように遅延が重なっていく課題も指摘されています。
このように、現在の空の遅れは単なる天候不良や機材トラブルだけではなく、空港全体のマンパワー不足や過密な運航スケジュールといった、複雑な要因が絡み合って起きているのです。
私たちが普段何気なく利用している時間通りのフライトは、じつは多くの地道な作業と、緻密な計画のバランスのうえに成り立っていると言えるでしょう。