飛行機はバックできる! でも「あえてやらない」ワケ 裏には “事実上の禁止” に至った深い事情

再エネ 2040年に日本の主電源へ

通常、旅客機は後進せず、バックの際にはトーイングカーと呼ばれる専用車両によって牽引されます。ですが、自力でバックすることは理論上可能です。では、なぜ行わないのでしょうか。

過去に「パワーバック」してた機種もあるが

 旅客機がバックする際は、トーイングカーと呼ばれる専用車両によって牽引されるのが一般的ですが、構造上は自力で後退することも可能です。

 この「自力バック」には、着陸後の減速時に用いる「逆噴射(リバーススラスト)」という機能を利用します。エンジンの排気方向を前方へ変えることで推進力を逆転させ、200km/h以上の速度で着陸したジェット旅客機を減速させますが、これを停止状態から使用することで、機体は後方へ動き出します。

 このような後方推進は「パワーバック」と呼ばれます。

 理論上は可能であり、かつてはアメリカなどで自力バックを行う機種も存在しましたが、現代の空港ではほとんど使用されていません。

 その理由は、安全上のリスクが大きいためです。

 逆噴射による強い気流は、地上の砂利やゴミを巻き上げ、それらをエンジンが吸い込んで損傷するおそれがあります。また、旅客機のコックピットからは後方を直接確認できないため、地上車両やグランドハンドリング(地上支援)スタッフを巻き込む危険性もあります。

 さらに、着陸時の逆噴射でエンジン音が大きくなるのと同様に、駐機場付近で大きな騒音を発生させてしまう問題もあります。

 加えて、低速での移動にもかかわらずエンジンを高出力で使用する必要があるため、燃料消費が多く、経済性の面でも不利です。

 このため現在、多くの航空会社では燃料節約やエンジン寿命の延長を目的に、着陸後の逆噴射も最小限(アイドルリバース)にとどめる運用が主流となっています。

 なお、羽田空港の一部駐機場や、プロペラ機など比較的小型の航空機が発着する場合には、前進後に180度転回して進行方向を変えることで、結果的に後方への移動に対応するケースもあります。

【90秒動画】これが羽田空港「珍出発法」です