「再生医療」事故や違反相次ぐ=自由診療、安全性に課題―厚労省、制度見直しへ

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 美容やがん治療など自由診療の「再生医療」を巡り、死亡事故や法令違反が相次いでいる。高額な費用負担を伴う一方、効果や安全性が十分検証されないまま行われるケースも多く、厚生労働省は制度見直しを進める方針だ。
 再生医療は、病気やけがで失われた身体の機能を細胞や遺伝子で回復させる技術。国の薬事承認を受けた製品のほか、公的医療保険が適用されない自由診療でも幅広い分野で行われている。医療機関が作成した提供計画を、国の認定を受けた委員会が審査し、厚労省に届け出れば実施できる仕組みだ。
 東京都内のクリニックでは2025年8月、脂肪由来の幹細胞を投与中に患者が急変して死亡する事案が発生し、厚労省が関連施設に改善命令を出した。都内の別のクリニックでも、計画にない医薬品の使用などの違反や治療を受けた患者が死亡した事案が明らかになった。
 治療の妥当性も問題となっている。国立がん研究センターなどが23年に公表した研究では、リスクが「中程度」に分類される再生医療の約4分の1で科学的根拠が不十分とされた。
 日本再生医療学会は先月、科学的な裏付けが不十分なまま自由診療で行われる再生医療に懸念を示し、根拠の信頼度に応じて治療を分類する方針を明らかにした。同学会の西田幸二理事長は「患者の意見も踏まえ、産学官で連携しながらガイドラインを整備したい」と述べ、26年度前半にもガイドライン案を取りまとめる意向を示す。
 問題が相次ぐ背景として、再生医療制度への理解不足もある。制度上、国は治療の有効性や安全性を評価しないが、委員会による計画審査があることで、治療が「国のお墨付き」を得たように受け止められることが多いためだ。厚労省の専門部会でもこうした問題意識は共有されており、同省は制度の周知強化を図るほか、制度の基となる再生医療安全性確保法について、患者のフォローアップ体制や医療機関への監視の強化などを柱に見直しを進める方針だ。