日本、対米投資で突出=米側の合意履行、不十分―関税宣言1年

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 トランプ米大統領が広範な貿易相手国・地域に相互関税を課すと宣言した「米国解放の日」から1年。関税率引き下げの条件として各国が約束した対米投資で、日本は既に第2弾を発表するなど突出した状態だ。一方、相互関税を無効とする司法判断を受けて米が導入した追加関税では、一部品目に合意を超える関税率が課されたまま。日本だけが合意を守るいびつな状況が続いている。
 昨年7月、日米両政府はトランプ政権が25%に設定した相互関税について、既存の関税率が15%未満の品目に関しては15%にすることで合意した。ただ、米側が2月の司法判断後に講じた関税措置は、既存の税率に単純に10%を上乗せしており、例えばマヨネーズは16.4%と合意内容を上回る税率となった。
 関税交渉や対米投融資を担う赤沢亮正経済産業相は「合意を着実に実施するよう引き続き求め、わが国が不利益を被ることがないよう取り組む」と強調してきた。グリア米通商代表部(USTR)代表は合意を順守すると説明しているが、具体的な動きはない。
 日本は最大5500億ドル(約87兆円)の対米投融資について、参画する企業との覚書締結など着実に案件を積み上げてきた。2月に第1弾として天然ガス発電、原油輸出インフラ、人工ダイヤ製造、3月は第2弾として次世代原発と2件の天然ガス発電事業を発表。その金額は最大計1090億ドル、進捗(しんちょく)率は2割に達する。同様に米国と合意した韓国や欧州連合(EU)は具体的な案件を発表していない。
 日本が合意の履行を急ぐ背景には、米国が相互関税とは別に、自動車・自動車部品に課す分野別関税の存在がある。日本としては合意履行の姿勢を示すことで米国が基幹産業への税率を引き上げるリスクを抑えたい考えだ。
 交渉関係者は「日米双方の利益になる」と強調する。日本企業の収益拡大だけでなく、米国の重要インフラに日本の技術が不可欠になることは経済安全保障の観点からも重要だからだ。一方、外交筋は、日本だけが合意履行を進めている状況について、今後の進め方では「さじ加減を微調整するのは一般論としてあり得る」と述べた。 
〔写真説明〕国・地域別の相互関税率の表を掲げるトランプ米大統領=2025年4月、米ワシントン(AFP時事)