米国・イスラエルとイランの軍事的応酬の長期化が懸念される中、政府は節電や石油製品の節約を企業や国民に要請するかどうか、慎重に検討を進める方針だ。今後のエネルギー供給状況や日本経済への影響を見極めて最終的に判断する。複数の関係者が3日、明らかにした。
政府による節電・節約の要請について、赤沢亮正経済産業相は3日の記者会見で「国民経済に大きな影響がない形で、あらゆる政策オプションを検討したい」と語った。
政権幹部は「日本は省エネ意識が高く、要請すれば国民の反応は早い」と指摘しつつ、「まだ(石油の)備蓄もある。少なくとも(5月初めの)ゴールデンウイーク明けまでは要請は出さない」との見通しを示した。
1973年に起きた第1次オイルショックで当時の政府は「石油節約運動」として、日曜日のドライブ自粛、高速道路での低速運転、深夜のテレビ放送自粛などを呼び掛けた。高市早苗首相は2日の衆院本会議で、節電・節約の要請について「あらゆる可能性を排除せず、臨機応変に対応する」と否定しなかった。現時点で石油や電力の供給に問題はないとの認識も示した。
中東情勢の悪化に伴う原油価格の急騰に対し、高市政権は石油備蓄の放出や補助金拡充による消費者対策を講じてきた。ただ、トランプ米大統領はイランが事実上封鎖する要衝ホルムズ海峡の通航再開に向けた具体的な道筋を示しておらず、早期の事態沈静化は困難との見方が広がっている。
政府の対応について、自民党内からは「事態がどれだけ長引くか見通せない中、補助金を出すから(電気やガソリンなどを)どんどん使ってくださいというのはどうなのか」(閣僚経験者)と疑問視する見方がある。政府内からも「重要物資の安定供給の確保に努力すると言いつつ、補助金で消費を奨励するのは矛盾がある」(関係者)との声が漏れる。
節電・節約を要請すれば、日本経済に冷や水を浴びせることになるのは明らかだ。首相周辺は「まだ石油の備蓄がある中、経済活動の制限は大きな損失になる」と指摘した。
〔写真説明〕首相官邸に入る高市早苗首相=3日、東京・永田町