家裁の役割拡大、課題も=調査官や予算不足指摘―共同親権制度、4月開始

不動産売却ニーズ高まる 背景は

 離婚後も父母双方が子の親権を持つ「共同親権」の選択が可能になる新制度が4月にスタートする。父母間の合意が難しい場合に共同親権か単独親権か判断を迫られるなど、家庭裁判所の役割がこれまで以上に拡大する。現場からは、実務を支える家裁調査官の不足などの課題を指摘する声も出ている。
 家裁調査官は、家庭内の紛争などを扱う家事事件で、争っている当事者らが抱えている問題の背景や原因を調査し、解決方法を検討する。少年事件では、非行を犯したとされる少年の動機や生育歴、生活環境を調べ、児童相談所などとも連携しながら、更生に必要な方策を検討する。いずれの事件でも結果を裁判官に報告し、報告に基づいて審判や調停が進められる。
 調査官の定員は2025年度、全国で5人増員され、最高裁は、制度が始まる26年度もさらに10人増やすよう求めている。ただ、調査官や書記官ら約2700人が加入する全司法労働組合は100人単位の増員が必要不可欠としており、隔たりは大きい。
 最高裁家庭局の遠藤圭一郎第2課長は「父母が合意できず争うケースもあるだろうが、共同親権が認められることで離婚時の紛争が減る可能性もある」と説明。制度開始後の事件数を想定することは難しいと話す。
 一方、同労組の井上隆博書記長は「現状でも調査官は不足している。共同親権を巡る争いも相当数に上ると考えられ、審理が一層長期化する恐れがある」と懸念する。裁判手続きのデジタル化が本格化するのを控え、予算に占めるデジタル関連の比重が大きくなる一方、予算総額が十分増えないことが人員確保に影響しているとみる。
 最高裁によると、離婚調停が大半を占める「夫婦関係調整調停事件」の平均審理期間はコロナ禍前の19年が5.9カ月。21年に7.0カ月となった後に若干下がったものの、25年も6.8カ月と高止まりしている。
 日弁連の榎木純一事務次長も家裁の状況について「心配している。現状でも調査されるべき事案でされていない例が散見される。裁判所の予算が足りていないのではないか」と指摘している。