バレンツ海で沈んだ旧ソビエト連邦の原子力潜水艦「コムソモレツ」から、依然として放射性物質が漏れ出していることが、2026年3月23日、調査で明らかとなりました。
80年代末に沈んだ潜水艦の現在
事故によりノルウェー沖のバレンツ海で沈んだ旧ソビエト連邦の原子力潜水艦「コムソモレツ(K-278)」から、依然として放射性物質が漏れ出していることが、2026年3月23日、ノルウェー放射線・原子力安全局(DSA)が主導した調査で明らかとなりました。
「コムソモレツ」は1989年4月7日、ノルウェー海沖で演習中に火災事故を起こし、緊急浮上したものの延焼を止められず、酸素タンクと潤滑油タンクが誘爆。耐圧殻が破壊され、沈没しました。
同艦は原子炉のほか、沈没時に核弾頭を搭載した核魚雷を2本装備しており、水深1680メートルの海底で長期的な放射能漏れのリスクが指摘されています。1990年以降、ノルウェーとロシアが継続的な調査を実施しています。
過去の調査では艦体に亀裂が入り、核魚雷が海水に触れていることが確認され、1994年には魚雷区画を封鎖する大規模な作業も行われました。
今回の発表は、2019年に実施された遠隔操作無人潜水艇による調査結果を詳しく検証したものです。魚雷区画が現在も密閉状態にあることが確認された一方で、原子炉は劣化しており、周期的に目に見える放射性物質の噴出が海中に放出されていることが明らかになりました。
採取したサンプルからはストロンチウム、セシウム、ウラン、プルトニウムの同位体が検出され、「コムソモレツ」のすぐ近くでは、ストロンチウムとセシウムの濃度が、それぞれ通常のノルウェー海のレベルの40万倍および80万倍に達しました。
ただし、これらの放射性物質は海水によって希釈される範囲にとどまっているようです。同潜水艦から数メートル離れると、汚染物質の量は急激に減少するとのことで、研究チームは「遠距離への環境影響は非常に小さいと考えられる」との見解を示しています。
また、潜水艦の残骸に生息する海綿、サンゴ、イソギンチャクのサンプルからは、わずかに高い放射性セシウム濃度が検出されたものの、変形などの明確な異常は見られなかったとのことです。
なお、大きな影響が確認されていないことが示された一方で、生態系については未解明な点が多く、また自然に消滅しない汚染源であることも強調されています。
【動画】か、海中に不気味な影が…! これが、沈没した「コムソモレツ」の艦橋です