28日にロートフィールド奈良で行われた奈良クラブとツエーゲン金沢の一戦は、5-1で奈良が大勝を飾った。PK戦負けを含めて5試合勝利から遠ざかっていた奈良を勢いづけたのは、ポルティモネンセSC(ポルトガル2部)からの完全移籍加入が発表されたばかりのFW川﨑修平の落ち着いたJ1規格のプレーだった。
26日の発表からわずか2日後の試合。先発に名を連ねた川﨑は4-2-3-1の布陣の左サイドハーフで出場すると、派手さはないものの、数人に囲まれてもほとんどボールを失わない冷静なボールさばきと質の高いパスで攻撃のリズムをつくった。
「あまりチームも勝っていなかったので、とりあえず結果を出したい、プラス、勝ちたいという気持ちでした」と川﨑。1-0の40分には中央に切れ込んで、右サイドのFW田村亮介に絶妙なパス。フリーの田村亮が放ったシュートが相手DFのハンドとなり、PKで貴重な追加点を得た。川﨑は奈良の勝利が決定的となっていた76分にピッチを後にしたが、今後の爆発を期待させるJ3デビューだった。
自身と同じガンバ大阪アカデミー出身の川﨑のプレーについて、奈良の大黒将志監督は「(川﨑)修平はずっと移籍手続き待ちでしたが、ようやく今週、手続きが完了しました。準備もできていましたし、チームの戦術も理解しています」と明かした上で「修平のところで時間もできますし、賢いプレーを選択してくれます。判断も早い。だから、そのときにベストな選択ができる」と解説した。
さらには「全員が修平ぐらいのクオリティーがあると、すごくいいサッカーになる」と強調。「(練習で)一緒にボール回しをしても、僕のほうが上ですが、僕に近いレベルでできるのは修平ぐらいなので」と話して報道陣を笑わせた。
一方、昨季プレーしたJ1、東京ヴェルディへの期限付き移籍期間が1月初めに終了してから、奈良加入が正式に決定するまで時間がかかったことについて「いろいろな僕の周りの方に助けられました。奈良クラブもそうですし、そういった方々にこれから恩返ししたい気持ちです」と明かした川﨑は、「僕もまだまだだというのは感じますし、コンディションとかを言っている場合じゃないと思います。引き締めてやっていきたいなというのが今日の試合の感想です。得点も狙っていきたい」と意気込みを口にした。20歳で海を渡ったテクニシャン。24歳でたどりついた奈良の地で、自身もチームも引き上げるつもりでいる。
取材・文=北川信行