「106万円の壁」、31日解消=パートらの厚生年金・健保加入

不動産売却ニーズ高まる 背景は

 短時間労働者の厚生年金や健康保険の加入要件の一つで、働き控えを招く要因とされてきた「年収106万円の壁」(時給換算1016円)が、31日に事実上解消する。秋田県で同日、時給1031円の2025年度最低賃金が発効し、全都道府県で106万円の壁を越えるためだ。「壁」の解消により、厚生労働省は全国で約110万人が新たに厚生年金・健保に加入するとみている。
 厚生年金や健保の保険料は、企業と労働者が折半で負担する。賃金に応じた年金額が老後に支給されたり、けがや病気で休んだ際に傷病手当金が受け取れたりする。健保には大企業の健保組合や中小企業の協会けんぽなどがある。
 短時間労働者は現在、従業員51人以上の企業で週20時間以上働き、月額8万8000円(年収換算106万円)以上の賃金を得ると厚生年金・健保の加入が義務付けられる。
 106万円の賃金要件は、扶養に入る主婦パートらが保険料負担を避けるため働く時間を抑え、企業が人手不足になる要因とされてきた。政府は106万円の壁解消を踏まえ、今秋に賃金要件を正式に廃止する。勤め先の従業員数要件も27年10月から段階的に下げ、35年10月に撤廃。週20時間以上の労働時間要件は維持する。
 厚労省は、厚生年金・健保への新規加入による主婦パートらの手取り減少を緩和するため、企業側の保険料負担割合を増やせる特例制度を今年10月から時限的に導入。企業側が保険料を多く肩代わりした分は全額還付する。
 社会保険労務士の井戸美枝氏は「主婦パートにとって、給付の厚い厚生年金に入るメリットは目先の手取り減より大きい。企業側もパートらを定着させて戦力にする好機と捉えるべきだ」と話している。