CAF(アフリカサッカー連盟)は17日、試合中に発生した混乱による規律違反により、アフリカネイションズカップ2025決勝の試合結果が変更されたことを発表した。
アフリカ最強国を決するAFCON2025は昨年12月から今年1月にかけて開催。決勝は現地時間18日に行われ、開催国にして25大会ぶりの優勝を狙うモロッコ代表と、2大会ぶり2度目の優勝を目論むセネガル代表が相まみえた。
試合は0-0で推移し、延長戦にまで突入する激闘となったものの、延長前半にFWサディオ・マネ(アル・ナスル/サウジアラビア)のボール奪取を起点にセネガル代表がカウンターに移ると、最後はMFパプ・ゲイェ(ビジャレアル/スペイン)が決勝ゴールを奪い、セネガル代表が約4年ぶりに大会チャンピオンに輝いていた。
しかしながら、後半アディショナルタイムの一幕は試合後になっても大きな物議を醸していた。90+6分、モロッコ代表MFブライム・ディアス(レアル・マドリード)が相手ペナルティエリア内で倒され、主審はVAR(ビデオアシスタント・レフェリー)を経て、1度はPKを宣告。すると、直前にゴール取り消しのきわどい判定を受けていたセネガル代表側が猛抗議。最終的に、セネガル代表のパペ・ティアウ監督は選手をピッチから退かせようとロッカールームへ先導した。
セネガル代表側の抗議行動によって、試合は約15分間中断。その後、ピッチに残っていたキャプテンのマネがチームを説得する形で選手たちを呼び戻し、試合が再開されると、モロッコ代表のPKキッカーを務めたB・ディアスのパネンカはGKエドゥアール・メンディ(アル・アハリ・サウジ/サウジアラビア)に難なくキャッチされ、このような流れから試合は延長戦に入り、セネガル代表が大逆転での勝利を掴み取っていた。
しかしながら、モロッコを率いるワリド・レグラギ監督は試合後、「ブライムがPKを蹴るまでにかなりの時間が経過し、それが彼を動揺させた。今夜の行動はアフリカの名誉を汚すものだ。彼は今やアフリカ王者なのだから何を言おうと構わないが、彼らが試合を10分以上に渡って中断させたことは事実だ」と、セネガル代表の行動を批判。モロッコサッカー連盟(MFF)は試合翌日、CAFとFIFA(国際サッカー連盟)に対して上訴に動いたことを明かしていた。
また、イギリスメディア『ガーディアン』によると、FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長も「一部のサポーター、そしてセネガルの選手とテクニカルスタッフの行動を強く非難する。このような形でピッチを去ることは容認できない。同様に私たちのスポーツにおいて暴力は許されない。まったくもって正しくない。審判の判断は常に尊重されなければならない」とコメントしていたという。
このような背景もあり、アフリカネイションズカップ2025決勝の試合開催日から約2カ月が経過した17日、CAFは驚きの裁定を発表。当初、同試合はセネガル代表の1-0での勝利となっていたが、一連のセネガル代表の行動が規約に抵触したとみなされ、最終的に没収試合の扱いになったことを明かした。具体的には、アフリカネイションズカップの大会規則第82条および第84条に抵触したことが、没収試合の根拠と伝えられている。
アフリカネイションズカップの大会規則第82条および第84条は、試合の成立や続行に関する重大な違反行為を定めた条項である。第82条は、一方のチームの責任によって試合が正常に開始・継続できなくなった場合の扱いを規定し、当該チームを敗戦(通常は0-3)とする根拠となる。一方の第84条は、試合の放棄や続行拒否に関する規定で、ピッチから離脱や再開指示への不従順などが該当し、同様に没収試合として相手チームの勝利が認定される。今大会の決勝では、試合終盤にセネガル代表が取った行動がこれら両条項に抵触すると判断され、結果変更の根拠となった。
また、個別の懲戒処分についても見直しが行われた。モロッコ代表の一部選手たちに科されていた出場停止処分は軽減され、罰金も撤回。一方で、試合運営に関わる一部の問題についてはモロッコ代表側の責任も限定的に認められたが、全体としては上訴の大部分が認容される形となった。
この裁定により、大会の最終結果そのものが覆る異例の事態となった。AFCON2025決勝の舞台で生じた混乱と規律違反が、競技の根幹に関わる問題として厳しく判断された形。結果として、モロッコ代表は通算2度目の優勝を果たした。
【ハイライト動画】アフリカネイションズカップ決勝の混乱と激闘