値上げ加速、景気後退懸念も=日用品・食品にも影響―イラン情勢

資源の”宝の山”都市鉱山とは?

 イラン情勢の緊迫化に伴う原油価格の高騰で、日用品や食品など幅広い生活必需品の値上げが加速する懸念が高まっている。原油の値上がりはプラスチックや化学肥料などの原料価格に直結する上、ガソリン価格や電気料金の上昇を通じ、製造・輸送コストにも波及する。既に一部で影響が表れ始めており、専門家は景気後退につながる恐れもあると指摘する。
 大手化学メーカーは3月に入り、原油由来の基礎化学品エチレンの減産を相次ぎ実施。信越化学工業はエチレンを原料とする塩化ビニール樹脂の国内販売価格を4月から1キロ当たり30円以上引き上げる。三菱ケミカルも樹脂など複数製品の値上げを発表した。
 海運大手3社が出資するコンテナ船会社オーシャン・ネットワーク・エクスプレスは、運賃に上乗せする緊急燃料サーチャージを今月24日以降順次導入する。金額は貨物の種類や航路などによって異なり、積載容量を示す単位当たり最大で210ドル(約3万3000円)。中東周辺の発着貨物には既に1コンテナ当たり最大3400ドル(約54万円)の特別料金を課しているという。
 農林水産省は円安を背景に、今年4~9月の輸入小麦の政府売り渡し価格を3年ぶりに引き上げる。1トン当たりの価格は3月までと比べて2.5%高い6万2520円となる。ただ、今回の改定にイラン情勢の影響は含まれておらず、半年後の改定でさらに上昇する可能性がある。
 野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストの試算によると、イランによるホルムズ海峡の事実上の封鎖で同海峡経由の輸送が長期間滞った場合、原油価格は米国などの攻撃前と比べ約30%上昇。この結果、ガソリンは29.9%、電気料金は6%上がり、洗剤やシャンプー、ラップなど身近な製品も値上がりする見込みだ。
 食卓も影響は避けられない。値上げ幅はニンジン、キャベツが5%前後、肉や魚も2%前後に達し、近年の物価高騰で苦しんできた家計にとってさらなる打撃となりそうだ。木内氏は、このシナリオが実現した場合は「景気悪化と物価高騰が共存し、緩やかな景気後退に陥る可能性が高まってくる」と予想する。 
〔写真説明〕16日、東京都内のガソリンスタンドの店頭(EPA時事)jpp090110791.jpg