2018年の西日本豪雨で、決壊防止のために行われたダムの緊急放流時の操作や避難情報の提供の不備で被害を受けたとして、愛媛県の肱川下流域の住民ら31人が国や自治体に計約5億3800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が18日、松山地裁である。
西日本豪雨では、国土交通省四国地方整備局が管理する野村ダム(同県西予市)と鹿野川ダム(大洲市)が緊急放流を実施。下流の肱川が氾濫して住宅などが浸水し、8人が死亡した。
訴訟で原告側は、二つのダムは1996年、大規模な水害から中小規模の水害にしか対応できないよう操作規則を変更した過失があるほか、西日本豪雨時は大量の雨水が流入することを予測できたのに、十分な事前放流を実施しなかったと主張した。
下流域の住民への避難情報については、西予市は切迫性を持った呼び掛けをしておらず、大洲市はダムの管理事務所から過去最大の放流量になると知らされていたのに早急に伝えなかったとした。
これに対し国側は、操作規則の変更は流域住民らの要望を踏まえ、当時発生頻度の高かった中小規模水害に対応するために行われたと主張。事前放流は法律上、操作規則を逸脱して放流量を増やすことはできないと反論した。
西予市は、危険性を伝えるため消防団による戸別訪問で早期避難を促したと主張。大洲市は適切な避難指示を行っており「過失はない」としている。
西日本豪雨を巡っては、広範囲が浸水した岡山県倉敷市真備町地区の一部住民も、国などの治水対策が不十分だったとして岡山地裁に提訴。審理が続いている。
〔写真説明〕西日本豪雨で緊急放流を実施した鹿野川ダム=2018年7月、愛媛県大洲市