原油供給、不安解消に先手=備蓄放出・補助金財源に限界

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 イラン情勢の悪化に伴う原油の調達不安を受け、政府は石油備蓄の放出とガソリン補助金の復活を決めた。原油の高騰や供給不足は幅広い製品の価格上昇につながるため、不安解消に先手を打った。ただ、事態が長期化すれば備蓄や補助金財源はいずれ底を突く。追加の対策で財政悪化懸念が強まれば、円安が進んで一段の物価高を招く悪循環に陥りかねない。
 「今月下旬以降に日本への原油輸入は大幅に減少する見通しだ」。高市早苗首相は備蓄放出を表明した11日夜、危機感をあらわにした。大手化学メーカーは原油由来のナフサの供給量減少を見込み、プラスチック製品などに使われるエチレンの減産を既に始めている。
 放出する石油備蓄は45日分に相当する8000万バレル程度。16日に民間の備蓄義務量を引き下げて放出を始め、3月末にも国家備蓄の放出を始める。しかし、日本総合研究所の栂野裕貴研究員は「応急措置としては重要だが、いずれ尽きる」と指摘する。
 ガソリン補助金は、翌週のレギュラーガソリン1リットル当たりの店頭価格が170円を超えると見込まれる場合に、その超過分を全額支給する。石油元売り各社が19日に出荷する分から支給し、軽油や灯油も補助の対象。ガソリンの店頭価格は9日時点で全国平均160円を超え、来週は180円を上回るとの見方が広がっていた。
 財源には、補助金基金の約2800億円を充てる。ただ、野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは、米国産標準油種WTIが1バレル=87ドルで推移すれば「2カ月強で使い果たしてしまう」と試算。この水準が続けば、「いずれ補正予算の前倒し編成を余儀なくされる可能性もある」と指摘する。 
〔写真説明〕むつ小川原国家石油備蓄基地=9日、青森県六ケ所村