【北京時事】中国の習近平国家主席(72、共産党総書記)は12日閉幕の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で、異例の4期目入りに向けた布石を打った。建国の父、毛沢東が成し遂げられなかった台湾統一を実現させ、歴史に名を残すまで引退しない意向とみられ、来秋に開かれる党大会で続投が決まることが確実視されている。軍の引き締めを通じ統一の準備を加速させる構えだ。
◇終身可能に
「2035年までに1人当たり国内総生産(GDP)を20年の倍にする」。全人代で公表された第15次5カ年計画(26~30年)に、こう明記された。期間外の目標が盛り込まれたことに関して、「少なくとも35年までは続けようとする習氏の意欲が確認できた」(中国政治の専門家)との分析がある。
習氏は12年に総書記に選ばれ、13年に国家主席に就任。当初から長期政権を狙っていたとされるが、憲法で定められていた2期10年の国家主席の任期制限が立ちはだかった。
そのため習政権は18年の全人代で憲法改正に踏み切り、制限を撤廃。兼任する総書記の任期は党規約で明文化されていないため、毛と並ぶ終身指導者になるための制約が取り払われた。
習政権の歩みについて外交筋は「最初の10年は政敵排除と自派固めの期間で、3期目に入った22年にようやく完全な習体制が発足した」と振り返る。米欧などでは「3期目が終わる27年までに台湾侵攻がある」との見方が多かったが、最近は軍高官の一斉粛清で不透明感が強まっている。
◇侵攻積極派を選抜も
今年1月、中国軍制服組トップの張又侠・中央軍事委員会副主席らが失脚。習氏がトップを務める軍最高指導機関の中央軍事委は、22年に7人で発足したが、相次ぐメンバー失脚で、習氏を除くと、規律維持などを担当してきた張昇民氏しか残っていない。「作戦を指揮する立場の軍人が不在で、台湾侵攻どころではない」(軍事専門家)とされる。
習氏が、長年頼りにしてきた盟友の張又侠氏を突然引きずり降ろした形で、背景を巡りさまざまな臆測が飛び交った。習氏の意に沿わない言動や行為があったとの見方が多く、張又侠氏が台湾侵攻に消極的だったとも言われる。
習氏は今月7日、全人代の軍代表団による分科会に参加し、張又侠氏の「謀反」を念頭に、忠誠心を高めるよう厳命。4期目入りを前提に、台湾侵攻に積極的な軍高官を厳しい目で選抜していくとみられる。このため、侵攻に踏み切るとしても、体制を立て直した後の27年以降との観測が出ている。
〔写真説明〕11日、北京で開かれた全国政治協商会議に出席した中国の習近平国家主席(EPA時事)