「1強」首相、再稼働まい進=野党惨敗、消えた脱原発―東日本大震災15年

人工衛星打ち上げ 世界的に増加

 高市早苗首相は「1強」の政治状況下で、原発を「安価で安定した電力」(政府関係者)と重視し、再稼働にまい進する構えだ。折しも、中東情勢の混迷で原油価格が高騰。人工知能(AI)開発に必要なデータセンター増設などで電力需要の増加も見込まれる。一方、先の衆院選で「脱原発」の野党勢力は衰退。東京電力福島第1原発事故の発生から15年を経て、国政の景色も様変わりした。
 「電気代も安くなる。安定供給もできる。暮らしも産業も守れる。そういう世界を私はつくりたい」。首相は衆院選の街頭演説などで、原発再稼働の必要性を強調した。
 これに先立ち、自民党と日本維新の会は昨年10月の連立合意に「電力需要の増大を踏まえ、安全性確保を大前提に原発再稼働を進める」と明記。次世代革新炉や核融合炉など最新技術の開発加速も打ち出した。
 背景には、国際的なAI開発競争の激化や、今後本格化する半導体の国内製造などがある。首相周辺は「AIや半導体の生産には大量の電力が必要になる」と指摘。「プロジェクトの成否は安価で安定的な電力供給がカギを握る」と訴える。
 このため、高市政権は原発立地自治体への対策に「官民挙げて取り組んできた」(政府関係者)という。結果、今年1月に東電柏崎刈羽原発6号機(新潟県)の再稼働が実現。2027年には北海道電力泊原発3号機が続く見通しだ。
 東日本大震災を機に、注目の高まった太陽光や風力など再生可能エネルギーに対し、政権内の関心は薄い。全国各地に建設された大規模太陽光発電所(メガソーラー)を巡っては、造成地からの土砂流出が環境破壊や災害をもたらしているとして、むしろ規制強化を進めている。
 米国などのイラン攻撃に伴う原油価格の急騰も、原発再稼働の動きを後押ししそうだ。政権幹部は「長期的に化石燃料に依存しない電力供給を考えなければいけない」と語る。
 衆院選を経て与野党の勢力図は一変した。党綱領に「原発ゼロ」を掲げてきた立憲民主党は、公明党と合流して中道改革連合を立ち上げる際、再稼働容認に転じたが、有権者の支持を得られず惨敗。原発廃止をうたう共産党やれいわ新選組の獲得議席も計5議席にとどまった。
 対照的に、再稼働推進の国民民主党や参政党などは存在感を増している。国民民主の玉木雄一郎代表は10日の記者会見で「動かせる原発はフルに動かすべきだ」と主張した。 
〔写真説明〕首相官邸に入る高市早苗首相=10日午前、東京・永田町