「出口」なきイラン攻撃=イスラエルに誘引されたトランプ氏―核交渉一転、斬首作戦へ

人類が月面に再び立つ日も近い?

 【ワシントン時事】トランプ米大統領はイスラエルとの対イラン軍事行動を決断し、同国の最高指導者ハメネイ師の殺害を断行した。欧米メディアによって明らかにされた開戦に至る経緯からは、戦争の目的や大義、「出口」を定めることなく、イスラエルに引きずり込まれるように突入した姿が浮かび上がる。
 ◇最高機密
 2月下旬、トランプ氏の元に最高機密がもたらされた。米イスラエルの情報機関がハメネイ師の行動パターンを把握し、同28日午前にテヘラン市内の居住地にいる予定であることを突き止めたというものだ。
 米イランは同26日にスイス・ジュネーブで3回目の核協議を行った。米側の要求に応じないイランの強硬姿勢を見極めると、トランプ氏はハメネイ師を巡る情報に押されるように「斬首作戦」実行を決定。同28日に開戦すると、イスラエル軍の戦闘機がハメネイ師の邸宅に爆弾を投下した。
 ◇15回の電話
 昨年12月末、イスラエルのネタニヤフ首相は米南部フロリダ州のトランプ氏の邸宅「マールアラーゴ」を訪れた。同6月のイラン核施設空爆を成功させた両首脳は、イランのミサイル能力を壊滅する新たな作戦を協議。米ニュースサイト「アクシオス」によると、実施時期として「今年5月」が浮上したという。
 米イランは2月に核協議を再開。核の完全放棄を受け入れないイランに対し、トランプ氏は「なぜ降伏しないのか」(ウィトコフ中東担当特使)といら立ちを強め、空母2隻を中東に派遣した。トランプ氏とネタニヤフ氏は作戦開始までの2カ月間で電話会談を15回行った。
 ◇イスラエルの戦争
 ルビオ国務長官は2日、記者団に対し、イスラエルが軍事行動を仕掛け、イランが米軍に反撃することを予想していたと指摘。「米国が先制して攻撃しなければより多くの犠牲者を出しただろう」と主張した。議会からは「戦争の決断を他国に委ねたのか」(キング上院議員)と疑問視する声が上がっていた。
 ネタニヤフ氏がイラン攻撃に米国を巻き込んだとの指摘に対し、トランプ氏は「むしろ私がイスラエルに決断を迫ったかもしれない」と反論する。しかし「イスラエルが望んで起こした戦争で、米国の戦争ではない」(元米保守系テレビ司会者タッカー・カールソン氏)とみられており、11月の中間選挙を前にトランプ氏の熱狂的な支持者から批判が高まる可能性もある。 
〔写真説明〕トランプ米大統領(左)とイスラエルのネタニヤフ首相=2025年10月、イスラエル・エルサレム(AFP時事)