被災地と関わる「きっかけ食堂」=東北の名産味わい、各地で毎月開催―東日本大震災15年

宇宙スタートアップ 上場企業も

 東北の食材を使った料理や地酒を提供し、東日本大震災の被災地に関心を持ってもらう取り組み「きっかけ食堂」が東京都や京都市などで毎月開催されている。主催団体代表の原田奈実さん(31)は「震災から15年がたち、復興に携わる団体は減ってきたと感じる。『食』を通じ、被災地と関わる選択肢を増やしていきたい」と力を込める。
 きっかけ食堂は大震災から約3年後の2014年5月、当時大学生で復興ボランティアをしていた原田さんが、友人らとともに京都市内で立ち上げた。「現地に行かなくても東北のことを考えられないかと思ったのがきっかけだった」と振り返る。NPO法人化し、現在は東京都渋谷区と京都市、仙台市で毎月第2土曜日に開催している。
 2月14日に渋谷区で開催された食堂では、ホタテの刺し身やホヤとワカメのカルパッチョなど、岩手県の食材を使った料理が用意された。うどんの上に、シイタケやニンジンなどが入る甘塩っぱいあんを掛けた同県大槌町の郷土料理「すっぷく」も提供され、利用客は地酒を片手に「おいしい」と笑顔で料理を味わった。
 「すっぷく」の提供は、調理ボランティアとして参加した専門学校生の栗原花音さん(19)=小金井市=が提案。県外から生徒を受け入れる制度で大槌町の高校に3年間通ったといい、「郷土料理は人びとの生きていた証しだと思う。いつか自分のお店を持って岩手で感じた人の温かさを伝えていきたい」と前を向く。
 横浜市から訪れた会社員の浦航士朗さん(28)は大学時代、京都で開催された食堂を訪れたことを機に、福島県楢葉町で復興ボランティアに参加した。当時を振り返り、「東北の食材で被災地が身近に感じられるようになった。ここは人と人がつながる場所なのでまた来たい」と満足した様子で語った。
 「最も簡単な地域との関わり方は現地のご飯を食べることだ」と原田さん。「観光や移住といった方法もあるが、その手前の選択肢をいかに増やせるかが大事。月に一度でもいいので東北のことを考えてもらえれば」と話した。 
〔写真説明〕料理を提供する、きっかけ食堂代表の原田奈実さん=2月14日、東京都渋谷区
〔写真説明〕岩手県の郷土料理を紹介する、きっかけ食堂ボランティアの栗原花音さん(中央)ら=2月14日、東京都渋谷区
〔写真説明〕きっかけ食堂で交流を楽しむ利用客ら=2月14日、東京都渋谷区
〔写真説明〕岩手県大槌町の郷土料理「すっぷく」を手にする、きっかけ食堂ボランティアの栗原花音さん=2月14日、東京都渋谷区