汚職対策や雇用創出争点=ネパール、5日に政変後初総選挙

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 【カトマンズ時事】昨年の政変後初となるネパール下院(定数275)総選挙が5日行われる。反政府デモを主導した若者からは「汚職対策や雇用創出」を望む声が上がる。ラッパーの顔も持つ若手政治家を首相候補に据え、刷新感を演出する新興政党が支持を集めており、次期政権の中軸となる可能性がある。
 首都カトマンズにある議会議事堂の門には亡くなった学生らの写真が並ぶ。放火された高層ホテルはシートに覆われ、骨組みがのぞいていた。昨年9月、オリ政権(当時)が主要なSNSの利用を禁じたことに端を発し、10~20代の「Z世代」を中心としたデモが発生。警官隊との衝突で70人以上が命を落とした。
 「何が起きているのか分からなかった」。大学4年のサンジタ・チャンドさん(25)は平和的な集会がみるみる制御不能となる様子を見て恐怖に震えた。発生から1日余りで政権は崩壊。発足した暫定政権下で下院は解散された。
 抗議の中心は激しい経済格差に加え、既得権層の腐敗や国民を置き去りにした政争への反発だった。チャンドさんは「古い政党が十分取り組んでこなかった」という汚職対策や将来世代の雇用確保を新政権に求めている。
 そうした声を背景に勢いを増しているのが、2022年に設立された国民独立党(RSP)。ラッパーとしての活動歴を持ち、Z世代から人気のあるカトマンズ前市長のシャー氏(35)が1月に加入。同氏は復権を目指す統一共産党(UML)トップのオリ前首相と同じ東部ジャパ郡の選挙区から出馬。政権奪取に意欲を見せる。
 政治アナリストのチャンドラ・デブ・バッタ氏は、選挙戦の推移を踏まえ「新たな顔と政党が(次期)政府をかじ取りすることになりそうだ」と、RSPの躍進を予想した。どの政党も単独での過半数確保は難しく、連立政権ができる公算が大きいとみられている。 
〔写真説明〕ネパール議会議事堂の門に並ぶ、反政府デモで死亡した学生らの写真=4日、カトマンズ
〔写真説明〕昨年9月のネパール反政府デモの際に放火された高層ホテル=4日、カトマンズ