【カイロ時事】サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)など湾岸諸国は、米イスラエルのイラン空爆を事実上容認する一方、それぞれの領内の米軍基地などを報復の標的とするイランを非難している。湾岸諸国が「反イラン」の立場を取る背景には、イランの現体制を長年潜在的脅威とみなしてきたという事情がある。
米紙ワシントン・ポストによれば、サウジの事実上の最高権力者ムハンマド皇太子は2月28日の攻撃開始に先立ち、トランプ米大統領と電話で繰り返し協議し、攻撃への支持を表明した。皇太子は「米国が攻撃に出なければ、イランは一層強力で危険になる」と述べるなど、イランへの強い危機感を示したという。
イスラエルと米国は対イラン軍事作戦を入念に準備してきたものの、中東諸国がどう反応するかが懸念材料だった。「アラブの盟主」を自任するサウジの支持を取り付けたことは、攻撃に踏み切る後押しになったとみられる。
イランのアラグチ外相は28日、湾岸諸国外相と相次いで電話会談し、各国の駐留米軍への報復攻撃の正当性を訴えたが、サウジやUAE、カタールなどは逆に米国と足並みをそろえて「無謀な行為だ」と突き放し、イランの反撃を糾弾した。
イランの現体制は1979年の革命で親米のパーレビ王制を打倒し、確立された。中東各国への「革命の輸出」を掲げ、代理勢力を育てて中東地域での影響力を拡大させた。
王制や首長制を取る湾岸諸国にとって、革命は、国家存亡の脅威だ。近年は安全保障の多角化の観点から表向きはイランとの関係改善を進めたものの、軍事力を強化するイランへの警戒心はむしろ強まっていた。
もっとも、米イスラエルが視野に入れるイランの体制転換は地域に不安定化をもたらす恐れがあり、今後の情勢の推移によっては湾岸諸国が対応を変える可能性もある。
〔写真説明〕米ホワイトハウスで会談するトランプ大統領(右)とサウジアラビアのムハンマド皇太子=2025年11月(EPA時事)