イラン報復で交戦泥沼化も=地域に波及懸念、体制存続が最優先

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 【イスタンブール時事】イランはかねて「攻撃されれば自衛する権利がある」と主張し、軍事的威圧を強める米国をけん制してきた。それでも、米国とイスラエルは対イラン攻撃を強行。反発するイランの報復が昨年6月に米・イスラエルと交えた「12日間戦争」を上回る規模の反撃になり、交戦の泥沼化と地域への拡大を招く恐れがある。
 核兵器開発の意図を否定するイランとしては、ウラン濃縮は核拡散防止条約(NPT)で認められた「核の平和利用の権利」だ。米国が求める濃縮完全停止は「屈服」に等しく、受け入れ難い。ただ、米国の軍事行動を回避したいとの思惑から、苦渋の選択として新たな核合意を追求。今年に入って3回開いた核協議で制裁解除と引き換えに高濃縮ウラン希釈などで歩み寄りを図ったとされる。
 しかし、昨年6月と同じく、米・イスラエルは外交交渉のさなかにイランへの軍事行動に踏み切った。再攻撃にさらされたイランが米国と信頼関係を構築し、外交的な核問題解決を追求するのは極めて難しくなった。
 イランの最高指導者ハメネイ師は、イラン近海へ戦力を集結させた米国に対し「軍艦は危険だが、軍艦よりも危険なものはそれを海底に沈めることができる(イランの)兵器だ」と強弁。徹底抗戦の構えだ。「(中東)地域を巻き込む戦争になる」と警告しており、ペルシャ湾の要衝ホルムズ海峡で石油タンカーなどの往来が妨害される事態も懸念される。
 トランプ米大統領は今回の攻撃に際してイランの体制転換を促したが、シンクタンク「国際危機グループ」のイラン専門家アリ・バエズ氏は「イランにとっては、どんな代償を払っても体制存続が最優先」と指摘する。イスラエル国家安全保障研究所(INSS)の専門家ダニー・シトリノビッチ氏は、反米保守強硬派や精鋭組織「革命防衛隊」など「現体制には安定した支持基盤がある」として、攻撃で国内の反米結束が強まれば、米・イスラエルの思惑に反する混乱を招く可能性もあるという見方を示した。 
〔写真説明〕28日、イランの首都テヘランで、攻撃を受け、上がる煙(ロイター時事)