「人口減前提」政策を重視=政府、少子化反転と両輪―「長期的取り組み必要」

老朽化進む日本のインフラ設備

 厚生労働省が26日公表した人口動態統計の速報値で、年間出生数が10年連続減少したことが分かった。政府は少子化の反転に主軸を置くが、「人口減を前提」とした政策も重視されるようになってきた。政府関係者は「長期的な取り組みが必要だ」と話す。
 「少子化・人口減少は、わが国の活力をむしばんでいく『静かな有事』」。高市早苗首相は20日の施政方針演説で、反転対策の強化を表明しつつ、「当面は人口減少が続く。対応した社会経済を再構築する対策も必要だ」と言及した。
 昨年11月、人口減対策の司令塔を担う「人口戦略本部」の初会合が首相官邸で開かれた。高市首相は、人口減に対応した地方自治の検討や医療、交通、行政など必要なサービスを維持するためのデジタルトランスフォーメーション(DX)推進を指示した。
 これまで政府は反転対策を柱としてきた。2023年末、若年者の急減が見込まれる30年までを「少子化反転のラストチャンス」と位置付ける「こども未来戦略」を閣議決定。児童手当拡充や、就労に関係なく保育所を利用できる「こども誰でも通園制度」などを年3兆6000億円規模で段階的に実施している。
 ただ、それでも少子化は止まらず、各方面で人口減を見据えた対応が進む。文部科学省は進学者減を見込み、大学の規模縮小や撤退への指導を強化。厚労省は医療従事者が減少しても地域医療を維持できるよう、高度な手術や急性期機能を集約化する方向性を示している。
 政府関係者は「前面には出しづらいが、今後は人口減を前提に社会の在り方が再考されるだろう」と明かす。「人口問題は政治が期待するような短時間での効果は見込めず、長期的な取り組みが必要だ」とくぎを刺した。 
〔写真説明〕人口戦略本部であいさつする高市早苗首相(右端)=2025年11月、首相官邸