22日に閉幕したミラノ・コルティナ五輪は、初めて複数都市での分散開催となった。冬季五輪存続に向けた挑戦は一定の成果を出したと言える。大きな問題なく五輪を終えた国際オリンピック委員会(IOC)のコベントリー会長は「大会の持続可能性を示すことに成功した」と高く評価した。
今、冬季五輪は厳しい状況に置かれている。気候変動の影響で開催可能な都市が減少。経済的な負担の大きさから単独都市開催も難しくなっている。今大会は招致段階から「持続可能な大会」を重視し、各地に散らばる既存施設や仮設施設を有効に使う分散型を選んだ。
ただ広域化しただけではなかった。「分散型でも、正しい形で計画、運営をしなければうまくいかない」と大会組織委員会のマラゴ会長。山岳地帯にある雪上競技の各会場は既に国際大会の開催実績が豊富で、運営ノウハウが十分。競技環境のレベルが高かったことは、大会の盛り上がりにもつながった。ミラノではスピードスケートを仮設会場で実施。リンクの評判は上々で、その手法は今後の参考になった。
組織委などによると、会場には多くの観客が訪れ、テレビやインターネットで冬季五輪としては過去にないほど視聴されたという。選手村で一つ屋根の下に各国の選手が集まるという五輪の理想は体現できなかったが、開会式では四つの会場群で同時に参加者が行進するなど、一体感を出す方法を示した。
2030年に行われるフランス・アルプス地方での次回冬季五輪も分散型。スピードスケートは国外のイタリアかオランダで開催する方針が決まっている。今大会の運営から学ぶ部分は多いだろうが、30年大会組織委のグロスピロン会長は「(五輪には)初めて競技を見る人も集まる。それは五輪の普遍性であり、維持しないといけない」とも語る。単に効率を重視するのではなく、五輪の価値を損なわないよう努めた運営が望まれそうだ。
分散開催という新たな形を示したことはミラノ・コルティナ五輪の最大のレガシーとなった。今大会を分岐点に、冬季五輪の今後の開催地や日本の都市を含めた将来の開催候補地に影響を与えるのは間違いない。
〔写真説明〕閉会式が行われたベローナ五輪アリーナ=22日、ベローナ