中国が最新ステルス戦闘機J-35Aの海外販売を本格化させています。シンガポールの航空ショーで巨大模型を披露したものの、詳細に関する質問には一切答えない「塩対応」を見せました。
大きさはどのくらい?
中国は最新ステルス戦闘機の販売を海外で本格化させようとしています。この機体は「J-35A」と呼ばれ、名前どころか姿もアメリカの「F-35」に間違えそうな機体ですが、そんなJ-35Aの「超」が付くほどの大型模型が、航空業界の“祭典”で公開されています。
J-35Aは中国製第5世代戦闘機で、実機が2024年の中国・珠海の航空ショーでデビューしています。しかし、中国は国外の航空ショーに、本物の戦闘機を地上展示することはさほどありません。J-10戦闘機を使う中国空軍の曲技飛行チーム「八一飛行表演隊」もショーでスモークを引いた曲技を見せますが。同時にJ-10を地上展示しません。そんな中、2026年2月に開催されたシンガポール航空ショーでは、J-35Aの「超」大型模型が展示され、業界の注目を集めました。
模型の全長は見た目では5m前後。J-35の全長は約17mとされているので、3分の1から4分の1スケールと思われます。ただ、海外では縮尺を2分の1とした記事もありました。他の展示模型を圧倒する大きさだけにスケールは気になりましたが、筆者は巻き尺までは用意しているわけではありませんでした。
このため、目測をしつつも各部を観察しましたが、操縦室のHUD(ヘッド・アップ・ディスプレイ)は広角の最新のものを模しているように見えました。風防は緊急脱出用の破砕コードを示す線が入り、レーダー電波の反射抑制用と思われる金色のコーティングがされています。機体全体を正面から見ると機首と胴体側面、垂直尾翼が同じ傾斜で構成されステルス機であることを強調しています。
反面、胴体のウエポンベイ(爆弾などを収納するスペース)はどの位置にあり、どのような形になっているのか、および整備用パネルはどこにあるかを示すモールド(すじ彫り)はありません。主翼下に兵器を搭載する位置を示す表示も見つかりませんでした。総じてステルス機能を取り入れた機体としか分からないのです。
そのため筆者は、展示場にいたJ-35AのメーカーAVIC(中国航空工業集団公司)の社員に大きさも含め、質問をしました。
質問してみた結果は…?
この社員は笑顔で「広報を呼んできます」と答えたものの、続いて出てきた広報マンも同様に笑顔を浮かべながら、「質問に一切答えることはできません」とだけ。質問を繰り返しても「規定により決められているのです。答えることはできません。ゴメンナサイ」。最後まで他の言葉を話しませんでした。
J-35Aは元々AVIC傘下の「瀋陽飛機工業集団」が開発し、J-31(2012年初飛行)と呼ばれた技術立証機が基になっています。J-35Aは空軍仕様とされ2023年に初飛行し、ほかに空母に載せる海軍用のJ-35Bがあります。
J-35Aは中国のステルス戦闘機としてはJ-20に続く2番目になり、中型クラスとされています。会場にいた中国人ジャーナリストは「アメリカのF-35Aはエンジンが1基、J-35Aは2基で異なる機体」と“別物”を主張していましたが、全体的なスタイルはF-35によく似ており、幾分細い機首部分、操縦室周りも合わせると、筆者はアメリカのF-22を思い出しました。
中国は近年急速に力を付け、2種類のステルス戦闘機を立て続けに完成させたものの、背景に欧米各国からの「正規なルートでない」、言わば技術盗用も疑われています。
こうしたことから、中国はJ-35Aの大型模型を展示したものの細かな質問や技術盗用への追及は避けたく、その結果が「ゴメンナサイ」なのでしょう。とはいえ、展示ブースの奥は応接スペースもあり、各国の軍関係者の視察を受け入れる態勢も整えていました。筆者は、今後ともJ-35Aのセールスについては、力を入れ続けることが考えられ、観察が必要だと考えています。