大統領の一方的行動制約=三権の抑制と均衡堅持―米最高裁

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 【ワシントン時事】米最高裁は20日の判決で、関税賦課という重大な政策判断をトランプ大統領が議会からの明確な委任なしに下すことはできないと断じた。与党が上下両院の多数派を占める状況下で、自身を「国王」になぞらえ、大統領令を使って一方的に政策の大転換を重ねてきたトランプ氏に対し、三権の一角である司法が大統領権限の制約と限界を突き付けた形だ。
 トランプ氏は政権1期目(2017~21年)の間に、引退・死去した判事の後任として自身の眼鏡にかなった3人を最高裁に送り込んだ。これにより最高裁の判事の構成は、保守派6人、リベラル派3人と圧倒的に保守派優位となっていた。
 ところが、今回の判決は6対3で政権の主張を退ける内容になった。トランプ氏は多数意見を形成した6人を「愚か者」とののしり、「非愛国的だ。外国勢力や、世間が思っているよりはるかに小さな政治運動に影響されている」と非難した。
 最大の争点になったのは、「重大問題の法理」と呼ばれる原則。行政府(大統領)が政治・経済面で広範な影響を及ぼす政策を実施する際は、法律に明示的規定がなければならないとする考え方で、行政府の肥大を抑止する理論として21世紀に入り注目を集め始めた。
 判決はこれに基づき、政権が根拠とした国際緊急経済権限法(IEEPA)に関税賦課という具体的措置が明記されていない以上、同法を援用して課すことはできないとの見解を示した。トランプ氏に任命されたゴーサッチ判事も「憲法は議会にのみ立法権を与えており、『重大問題の法理』は行政府による(立法権の)侵食を防ぐものだ」と原則を全面的に肯定した。
 最高裁は、米国の統治制度の根幹である司法、行政、立法の三権の抑制と均衡を堅持し、議会を迂回(うかい)した大統領の行動に枠をはめた格好になった。トランプ政権の別の看板政策である不法移民対策や気候変動対策の撤回などが「重大問題」として扱われれば、関税と同様の法的な壁に直面する可能性がある。 
〔写真説明〕米連邦最高裁=20日、ワシントン(AFP時事)