【ニューヨーク時事】日本の山崎和之国連大使は18日までに時事通信のインタビューに応じ、米国の分担金拠出停止で深刻な財政難に陥っている国連の現状について、「改革へのチャンス」でもあるとの見方を示した。国連業務の肥大化に対する危機感が米国の動きの背景にあると分析し、組織改革に意欲を見せた。
財政状況が悪化した国連は2026年の通常予算を前年比で約1割削減した。山崎氏は「危機意識を持って改革しないと、合理化は進まない」と指摘。「効率的で効果的な国連をつくるため、日本も建設的な役割を果たしたい」と力を込めた。米国がこれまで任意拠出を含めて多額を負担してきたことについても「当然視できず、一つの国にそこまで求めるのは合理性がない」と、現状の問題点を提示した。
パレスチナ自治区ガザ情勢を巡っては、「中東の問題悪化を食い止めるには、米国が役割を果たさなければ実質的に不可能」と語り、トランプ米政権のこれまでのアプローチを評価した。ガザ停戦後の暫定統治を監督する国際機関「平和評議会」については、トランプ氏が国連の代替とする考えとも報じられている。他の先進7カ国(G7)諸国などが距離を置く中、同評議会への日本の対応については「精査しながら検討している」と述べるにとどめた。
国連が機能不全に陥っているとの意見に対しては「国連の持っているノウハウや組織は代替が効かない」と強調。特に、安保理が採択する決議は「国際的に正統性を得た形となり、どの国も重視する」といい、「国連の代表性、正統性は他の機関に相当しない重さを持っている」と意義を訴えた。
一方で、安保理改革の必要性と難しさにも言及した。国連憲章には紛争当事国は採決の投票に加わらないとの条項があるが「守られていないのが現実」だと懸念を示した。例えば、常任理事国が当事国の場合、拒否権を行使されてしまうという現状がある。
高市早苗首相の台湾有事発言に絡み、国連の各会合で中国が日本批判を展開していることについては、「各国からの信頼が影響を受けているとは思わない」と説明。「事実と異なる発言には断固として対応していく」と適切に反論を重ねていくと語った。
〔写真説明〕インタビューに応じる日本の山崎和之国連大使=12日、ニューヨーク