第2次高市内閣は安全保障政策の抜本的強化への取り組みを加速させる。年内に国家安保戦略など安保関連3文書を改定する方針で、増額を視野に入れる防衛費の財源をどう賄うかが焦点となる。外交面では、西半球重視に傾くトランプ米政権や、冷え込む中国との関係で難しいかじ取りを迫られそうだ。
防衛費を巡り、高市政権は2025年度補正予算に約1.1兆円を計上し、国内総生産(GDP)比2%に引き上げる目標を前倒しで達成した。23年度からの5年間で約43兆円を投じる現行計画の財源は法人、たばこ、所得の3税を増税して捻出する。
一方、米政権はGDP比5%以上とするよう同盟国に圧力をかける。高市早苗首相がさらなる増額に踏み切れば、国民負担増を伴う財源の議論は避けられない。
首相は衆院選で、安保政策を「国論を二分する政策」の一つと位置付けた。自民党大勝で推進力を得た形で、「アクセル役」を自任する日本維新の会との連立合意に沿って保守色の濃い政策の具体化を進める。
防衛装備品の輸出を「救難・輸送・警戒・監視・掃海」の5類型に限る現行ルールを春にも撤廃する。際限なき輸出で紛争を助長しないよう、歯止め策の在り方が課題となる。
原子力を含む「次世代の動力」を活用した潜水艦保有の是非や、非核三原則の扱いも論点となりそうだ。
3文書には安保環境の変化を踏まえ、新しい戦い方への対応や継戦能力の確保、太平洋側への対応強化などを盛り込む見通しだ。
首相は3月に就任後初めて訪米し、トランプ大統領との会談に臨む。日本の防衛力強化の取り組みを説明し、理解を得たい考えだ。トランプ氏は中南米など西半球への対応を重視する一方、対中国で融和的な態度が目立つ。強固な日米同盟を再確認し、インド太平洋地域につなぎ留められるか手腕が問われる。
首相自身による台湾有事を巡る発言で悪化した対中関係の改善も急務だ。11月には中国でアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開かれる。習近平国家主席との会談で局面打開を狙うが、実現するかは見通せない。
〔写真説明〕衆院本会議の首相指名選挙で投票を終え、小泉進次郎氏(右)と談笑する高市早苗首相(中央)=18日午後、国会内