第485話 インフレ経済移行の日本 欧米より低いプライベートブランド比率

欧米で高い比率 PB商品とは?

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内ホテルのラウンジで投資談義を行っています。


T:2月8日に第51回衆院選が投開票され、自民党が316議席を獲得する歴史的な勝利となりました。翌日の日経平均株価は一時3000円超の上げ幅となる5万7000円台を付け、史上最高値を更新。高市首相による政策の実現への国民・市場の期待の高さが改めて浮き彫りになりました。

神様:株高は米国の影響もあるでしょう。米国の景況感は製造業を中心に上向いており、日本株にも追い風となっています。

T:衆院選では多くの政党が消費税減税を訴えました。高市首相は食料品にかかる消費税率を2年間に限定してゼロとする減税の実現について、夏前に中間取りまとめを行う考えを明らかにしています。

神様:家計も厳しい状況が続いています。厚生労働省は2月9日、2025年分の毎月勤労統計調査結果(速報)を公表しました。2025年の現金給与総額は5年連続でプラスとなった一方で、物価を反映した実質賃金は1.3%減となり、4年連続でマイナスです。実質賃金マイナスの中、有効な施策が望まれるところです。

T:私たちにとって厳しい家計の状況が4年間も続いているわけですから、消費税減税は大きなインパクトですよね。

神様:そうですね。一方で、外食産業では持ち帰りや出前と店内飲食の価格の差がさらに拡大することへの懸念も出ています。特定の業界が不利益を被らないような施策にできれば良いですね。さて、「家計を応援する」という視点に立てば、スーパーマーケットなどの小売業界では、減税の他にもできることがあります。何だと思いますか?

T:商品の値引きをして安く売ることですか?

神様:単純に値引きをするだけならば、利益が減ってしまい持続可能ではありません。プライベートブランド(PB)に注目しましょう。コロナ禍以降、インフレ型経済に移行した日本では今、小売業界で価格優位性のある商品である「プライベートブランド」の認知度が拡大しています。

T:プライベートブランドと言えば、スーパーマーケットなどの小売店が独自に開発した商品ですね。

神様:その通りです。プライベートブランドは、小売業者や卸売業者などが独自で企画、開発し、中間マージンが発生しないため、価格設定がしやすく通常の商品よりも安いことが多いです。消費者にとっては安く買うことができ、業者にとっては利益を上げやすいのです。全国スーパーマーケット協会によると、2023年の日本のPB比率は10.1%と、2013年の7.8%から上昇傾向にあります。これまで日本ではデフレ型経済が続いていたことで、ナショナルブランド(NB)のシェアが高い状況でしたが、近年は急速にプライベートブランドが支持を集めています。

T:ナショナルブランドは、大手メーカーなどが商品を全国的に展開し、ブランド力があり、消費者にもなじみのある商品が多いですね。食品であれば味・品質も良く、安心して食べられるイメージです。しかし、最近のプライベートブランドはナショナルブランドに引けを取らないくらいの品質に感じます。

神様:おっしゃる通りです。海外を見てみましょう。日本よりも前からインフレが継続してきた欧米諸国では、日本よりはるかにプライベートブランドの需要が高く、発展しています。国別で見たプライベートブランド比率を見ると、欧州諸国の高さがわかるでしょう。

T:スイスはPB比率が50%を超えているのですか。知りませんでした。

神様:プライベートブランドはブランドをゼロから立ち上げて育てていく大変さがありますが、競合他社との差別化を図るのに有効です。良いプライベートブランド商品を出すことは、小売店にとって大きなメリットとなります。インフレ下にある米国などでは、最近は品質にもこだわり、高付加価値のあるPB商品が出回ってきました。消費者からも多様な価値が支持されています。

T:そう考えると、インフレ型経済に移行したばかりの日本では、これからまだまだプライベートブランドの需要が高まり、より多くのブランド・商品が登場し、さらなる市場の拡大が期待できそうですね。プライベートブランドを開発・提供する関連企業の今後に期待しましょう。

(この項終わり。次回2/25掲載予定)

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