不正車検の摘発が続いています。山梨県警では、車両は持ち込まれたものの整備は行われずに適合と判断された容疑で、県警史上初めて事業者が摘発されました。
「車検合格」←点検してませんでした で逮捕
愛知県に続いて、山梨県でも不正車検の摘発がありました。前者は車両すら持ち込まずに検査員が車検(=車両検査)適合をでっち上げた“架空車検”でしたが、後者は、車両は工場に持ち込まれたものの、整備は行われずに適合判断をした、という違いがあります。
山梨県警甲斐署と交通指導課は、道路運送車両法違反の不正車検容疑で、山梨県甲斐市にある「東洋モータース株式会社」の社長と自動車検査員を2026年2月4日に逮捕しました。
容疑は2025年6月下旬頃、大型自動二輪車であるハーレーダビッドソン1台の車検において、法定点検を行わずに完成検査を実施し、内容が虚偽の保安基準適合証を作成したというものです。捜査関係者によると「(点検整備を怠り完成検査だけを行う)この手口による摘発は初めて」だということです。
所有者自らが車両を運輸支局などに持ち込む場合を除いて、車検のあとに整備をすることは認められていません。運輸支局に車両を持ち込まずに継続車検の車検証を取得できる指定工場は、必ず法定点検により整備を行った後に、資格を持つ車両検査員が“検査”で保安基準適合性をチェックします。この過程で点検・整備を省略することで、整備事業者は整備員の仕事や費用を省き、車検費用の請求金額を安く抑えることが可能です。
一部の報道では、車検費用を安く抑えることで受注を増やしていたとされる一方、数年間の車検で取扱件数の著しい増加は確認されていないようです。手軽な車検費用で顧客の減少を食い止めようとしたのでしょうか。警察の捜査が終了すると、関東運輸局の監査も控えています。不正の動機は明らかになっているとは言えません。
「依頼者も共犯になり得る」とは?
東洋モータースは自動車整備業と車両販売を中心とする整備事業者で、主に中大型の商用車や乗用車を中心に扱っていました。捜索時も改造車やカスタムバイクが多数入庫している様子はなかったようです。
逮捕容疑となったハーレーダビッドソンは不正車検が疑われても、所有者の利益を保護するために、車検期間は有効です。捜査関係者は一方で、車両の所有者にも着目した上で注意を呼びかけます。
「一つ言えることは、依頼者も点検をせず最後の検査だけで、短い時間で手続きをすることを承知していた、ということになると共犯に問われる可能性があります。依頼者が初めての整備工場で不正を見抜くことは難しいと思いますが、こういう事業者もあるので気を付けてほしいです」
車検を依頼する際は、作業内容や点検項目の説明を受け、整備記録簿を確認するなど、価格だけでなく信頼性も考慮した整備業者選びが大切と言えるでしょう。