株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、海の見えるカフェでコーヒーを飲みながら投資談義を行っています。
神様:Tさん、日本にエレベーターは何台あると思いますか?
T:え、エレベーターですか?そう聞かれると、一体何台くらいあるのでしょうか?
神様:一般社団法人日本エレベーター協会によると、2024年度のエレベーター保守台数は687,078台となっています。調査を始めた1970年は約42,000台でした。
T:高度経済成長期を経て、そんなに増えていたのですね。そういえば昔の百貨店にはエレベーターガールがいて”百貨店の顔”と言われていましたね。懐かしいです。
神様:時代も進み、いたる所で変化がありますね。ところで、エレベーターには油圧式とロープ式の2種類あるのをご存知ですか?
T:ロープ式はわかります。荷物や人が乗るところをロープで釣り上げて運ぶのですよね。油圧式とは何でしょうか?
神様:油圧式は、油圧で荷物や人が乗る「かご」を持ち上げ、昇降するのです。
T:へえ、そうなんですか。知りませんでした。
神様:エレベーター全体ではロープ式の数が圧倒的に多く、1970年当初もロープ式でした。しかし1980年を過ぎたころから油圧式エレベーターの設置が増えてきました。ロープ式エレベーターはかごを動かす機械を置く機械室が必要で、屋上に機械室を設置する必要がありました。一方で、油圧式エレベーターは屋上に機械室を設置する必要がなく、機械室の場所を比較的自由に決めることができました。低層階ビルや公共住宅を中心に、油圧式エレベーターの設置が進みました。しかし、その後機械室がいらないロープ式エレベーターが登場し、現在は新規で油圧式エレベーターが設置されることはほとんどなくなっています。

T:今、全国に油圧式エレベーターは何台くらいあるのですか?
神様:全国で約84,000台あると言われていますが、老朽化が進んでいます。
T:ということは、今後これらのエレベーターの交換が必要になってくるわけですね。
神様:その通りです。エレベーターの税法上の法定耐用年数は17年ですが、一般的な寿命は20年~30年と言われています。25年~30年以上経過している油圧式エレベーターはリニューアルの時期に差し掛かっています。これらの多くは、おそらく機械室を作る必要がなくコンパクトな最新のロープ式エレベーターに入れ替わるでしょう。全国で工事が進んでいくと思われます。
T:きっと乗り心地も変わるのでしょうね。
神様:おっしゃる通りです。油圧式エレベーターに比べて消費電力が小さく、インバーター制御のギアレスであることから、乗り心地がよく静粛性が高いことが最新のロープ式のメリットです。一方で、デメリットとして工事コストが高く工期が長いこと、また場合によっては昇降路内に鉄骨等補強工事が必要になることもあります。
T:老朽化していく建物の中で、不測の事故を防ぐためにはしっかりと工事をすることが大事ですよね。コストをしっかりかけて工事をしてほしいところです。エレベーターについては老朽化だけでなく、地震時の閉じ込めや扉が開いたまま動き出すなどの安全対策も気になるところです。
神様:国土交通省では、エレベーターの安全な運行のため、建物所有者や管理者に対して適切なエレベーターの維持管理を行うよう求めています。エレベーターは設置後、建築基準法第12条3項に基づいた定期検査を概ね年1回行う必要があります。また、建築基準法第8条に基づき、エレベーターに異常がないか使用頻度に応じて点検する必要があります。
T:大事なことですね。
神様:エレベーターの新設と保守点検はセットで同じ会社が受注する場合が多いです。今後、都市部では人口増加による高層マンションやオフィスの増加が見込まれています。古いエレベーターの交換、そして新しいエレベーターの設置と、機械室がないエレベーターの設置が今後も増加する見込みです。設置や保守を担当する関連企業の活躍に注目してみるのも良いでしょう。

T:老朽化した施設の設備などのリニューアルは日本の課題です。今後の活躍に期待ですね。
(この項終わり。次回2/18掲載予定)
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