トラック輸送を船へと切り替えるモーダルシフトが注目されています。なかでも活躍が期待される「RORO船」とは、いったいどのような仕組みなのでしょうか。その特徴と運用の実態を解説します。
巨大な立体駐車場がそのまま海を渡る「自走式」の仕組み
トラックドライバーの不足や労働時間の規制強化により、一人のドライバーが長時間の連続運転で荷物を運ぶことが難しくなっています。
こうした状況を受け、トラック輸送を船へと切り替える“モーダルシフト”が注目されています。その主役の1つとなるのが“RORO(ローロー)船”と呼ばれる貨物船です。
「RORO」とは、「Roll-on/Roll-off」の略で、フェリーのようにランプウェイを備え、車両が自走して乗り込み、自走して降りられる方式の船を指します。
荷物をクレーンで1つずつ吊り上げて積み込む一般的なコンテナ船とは異なり、車両が自ら走って乗り降りできるため、積み下ろしの時間を短縮でき、荷役効率が高いのが特徴です。
その姿は、まさに巨大な立体駐車場がそのまま海を渡るような機動性を持っているといえるでしょう。
さらに、この船は環境への配慮にも優れています。
輸送機関別にみると、内航船はトラックが公道を走り回るよりもCO2(二酸化炭素)排出単位が著しく低く、環境負荷の少ない輸送手段であるといわれています。地球に優しい物流を実現するうえで、この船が果たす役割は極めて大きいといえるでしょう。
効率的な貨物輸送かも「無人航送」と「定員12人」の秘密
また、RORO船の運用方法として、荷台だけを船で運ぶ「無人航送」が用いられることもあります。
これは、トレーラーを用いたやり方で、牽引車(トラクター)と被牽引車(トレーラー)を切り離し、後者だけを船に載せて運ぶ方法です。出発地のドライバーが港にトレーラーを引っ張ってくると、そこで切り離し、トレーラーだけ船で運びます。そして、到着地の港では別のドライバーが、別のトラクターを運転し、トレーラーを回収して目的地まで積荷を運ぶのです。
このバケツリレーのような仕組みにより、1人のドライバーに長駆走らせるというようなことをさせることがなくなるため、負担を軽減させられます。
こうした船には、知られざる「12人の壁」というルールが存在します。これは、旅客定員が13人以上の船舶は「旅客船」、12人以下は「非旅客船」として扱われ、適用される安全規制が異なるというものです。
貨物輸送に特化したRORO船のなかには、旅客船扱いを避けるため、あえて旅客定員を抑える設計とする場合もあります。これには規制負担を抑え、貨物輸送に特化した運航をしやすくする狙いがあるとされています。
航路や船によっては、ドライバー向けの個室や浴室など居住設備を充実させた例もあり、プロの現場を支える工夫がなされています。