戦後ドイツ史上最大となる戦闘艦「納期に全然間に合いません!!」慌てて中継ぎを計画 管理厳しそうなのになぜこの事態に?

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ドイツ海軍向けに建造が進められている新型フリゲート「ニーダーザクセン級フリゲート(F126)」の計画が難航していることがドイツ国内で報じられています。

当初の予定の引き渡しは無理!

 ドイツ海軍向けに建造が進められている新型フリゲート「ニーダーザクセン級フリゲート(F126)」の計画が難航しており、その代替調達として既存設計のMEKO 200型フリゲートを追加導入する構想が浮上していることが、2026年1月末、ドイツ国内メディアの報道で明らかになりました。

 F126は、東西分裂期を含む戦後のドイツ海軍史上、最大規模の建艦プロジェクトとして計画され、2023年12月に建造が開始されました。

 同艦はフリゲートに分類されていますが、全長は約166m、最大排水量は約1万1000トンに達するとされ、アメリカ海軍のアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦よりもわずかに大型です。強力な対空・対潜戦能力を備え、少人数での長期展開を可能とすることが想定されているほか、任務に応じて武装や索敵装備を換装できるモジュール方式の採用も計画されています。その性格から、実質的には次世代の多用途駆逐艦といえる存在です。

 艦の設計はドイツ企業ではなく、オランダのダーメン・グループが担当することになり、2020年6月に4隻の建造契約が締結されました。その後、ドイツ側がオプションを行使し、計6隻が建造される計画となりました。

 しかし、1隻に多様な能力を盛り込む構想そのものが技術的に難易度の高いものであり、特にモジュール化や対潜戦能力に関する技術開発が難航しています。計画は大幅に遅延しており、当初予定されていた2028年の引き渡しは、事実上ほぼ不可能な状況です。

そもそもなんで最新鋭艦の設計をオランダに?

 そもそもオランダ企業がドイツの最新鋭艦の設計を担当している理由については、ドイツ連邦軍の装備調達がEU圏内での競争入札に基づいて行われる場合があるためです。実際の建造はドイツ国内のピーネ造船所を中心に、国内企業であるNVLが担っていますが、設計そのものはダーメンが担当しています。

 このため、設計変更のたびに複数の企業や行政機関を国家間をまたいで経由する必要があり、遅延を拡大させる一因となっています。本来は、人手不足などで潜水艦やフリゲートの建造で手一杯となっていたドイツ国内造船会社の負担軽減を目的とした分業体制でしたが、結果として調整作業が増え、かえって非効率化しているのが現状です。

 こうした状況を受け、F126の完成までの「つなぎ」として、ドイツの造船会社ティッセンクルップ・マリン・システムズ(TKMS)に、既存設計であるMEKO 200型フリゲートを発注し、将来的な艦艇不足を解消しようとする計画が進められています。すでに1月末には、連邦議会予算委員会がこのための2500万ユーロの拠出を承認しています。

 新型艦の計画難航を受けて既存艦の建造を拡大するという構図は、アメリカ海軍におけるズムウォルト級ミサイル駆逐艦とアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦の関係を想起させます。もっとも、F126計画にはすでに約18億ユーロとも言われる巨額の予算が投入されており、ドイツ政府は現時点で計画を断念する意向はないと報じられています。ただし、完成後の性能評価次第では、ズムウォルト級のように調達数が縮小される可能性も否定できません。