「大空港のターミナル拡張」複数作るor一つの巨大ビルに…どっちがいい? 「将来の成田空港」と「アジア最強の乗り継ぎ空港」を比較

空港の旅客ターミナルビルは複数にするか、それとも1つに集約するか、どちらがいいのでしょうか。アジア最強格の乗り継ぎ空港「チャンギ空港」と、集約化を計画する「成田空港」、それぞれのケースを比較します。

超巨大商業施設も備えた「チャンギ国際空港」

 アジア最強格の乗り継ぎ空港であるシンガポールの「チャンギ国際空港」は2025年現在、5棟目の旅客ターミナルビルの建設を進めています。一方、日本では成田空港が、3棟ある旅客ターミナルビルを1棟にまとめる「ワンターミナル」へ臨もうとしています。両空港はともに国際線の乗り継ぎが重視されていますが、空港の旅客ターミナルビルは複数か、それとも1つに集約か、どちらがいいのでしょうか。

 チャンギ空港は、プールもある商業施設「ジュエル」が有名なようにショッピングモールと錯覚しそうなほど免税店やレストランが充実し、「世界一寝やすい空港」の異名もあります。というのもアジア各国や欧州への乗り継ぎを重視し、次の便を待つ旅客を如何に退屈させないかに力を注いでいるためです。それもあり、2024年の年間国際線旅客数は約6700万人と世界第4位の大空港です。そして、さらに旅客数の伸びへ向けて、第5旅客ターミナルビルの建設も2025年に始まっています。

 チャンギ空港運営会社によると、第5旅客ターミナルビルが建設されるのは、既存の第1~4旅客ターミナルビルと滑走路を挟んだ東地区で、2030年代半ばの第1フェーズ開業後は、年間約5000万人の旅客輸送に対応できるとのことです。

 一方、アジアから北米への乗り継ぎに重きを置く成田空港も、2029年3月末のオープンを目指してC滑走路(全長3500m)の新設、ならびに現状2500mの長さであるB滑走路を3500mへ延伸するなどの機能強化を進めています。現在3棟ある旅客ターミナルビルも将来は1棟にまとめられ、「ワンターミナル」に生まれ変わります。ワンターミナルは既存の第2旅客ターミナルビルの南に段階的に姿を現わしますが、延べ床面積は第1~3旅客ターミナルビルの合計とほぼ同じ95~115万平方mとされています。

「チャンギ方式」「成田方式」どっちがいいの?

 チャンギ空港は旅客ターミナルビルを増やし、成田空港は集約する――。まったく逆ともいえる拡張方法ですが、これは分散・集約のどちらが良いかより、滑走路を含めた空港全体のレイアウトなどそれぞれの事情から生じていると理解すべきでしょう。

 チャンギ空港の第5旅客ターミナルビルは第1~4旅客ターミナルビルから離れてしまうものの、建設地区の敷地面積は現在のチャンギ空港とほぼ同じ1080ha。第1~4旅客ターミナルビルの近くよりは、離れても広い敷地で新たに建設した方がより将来の旅客数増加へ対応できると、チャンギ空港運営会社は判断したと思われます。

 成田空港は機能強化により、面積は現在の2倍近い約2300haに広がります。3本の滑走路の配置も含めた空港全体を俯瞰すると、ちょうど中央部分に第1~3旅客ターミナルビルはあるのが分かります。こうなると旅客ターミナルビルを分散するより中央部分の1棟へ集約した方が、航空会社はビルごとに分かれた入居が無くなり、乗り継ぎなどの利便性は向上すると、同空港を運営するNAA(成田国際空港)は判断したと想像できます。

 ただし、チャンギ空港は第5旅客ターミナルビルに、ジュエルのような旅客を退屈させない商業施設をどう単独で充実させるかが課題となります。一方で成田のワンターミナルもいかに免税品店やレストランといった旅客向けの施設を、ビル内に均等に配置したり、分かりやすい館内の案内を心掛けたりする策が必要になると考えられます。

 こうした空港ごとの旅客サービスは、それぞれで向上が図られた後に互いに参考とし影響し合い利便性は一層上がるでしょう。それを願うばかりです。

【画像】だいぶデカい…これが将来の「アジア有数の乗り継ぎ空港」驚愕の全貌です「日本一着陸が難しい空港」なぜ? 実際に乗ったら「おっ、違うぞ…!」 ランクは「世界のANA就航空港のなかで最難」「アンカレッジ」なぜ聞かなくなった? 日本に縁深かった空路の要所、その「いま」