【北京時事】中国の習近平政権にとって、2026年は米国と中国の二極体制を意味する「G2」時代の到来を演出する年になりそうだ。4月にはトランプ米大統領の訪中を見込む。トランプ氏が重視する経済分野での「ディール(取引)」をてこに、習政権が「核心的利益の中の核心」と位置付ける台湾問題など安全保障面での譲歩を狙う構えだ。
25年10月の米中首脳会談に際し、トランプ氏は両国関係をG2と表現し、波紋を呼んだ。これについて中国外務省は「米国と共に大国としての責任を担うことで、世界にとってより良い行いができる」(報道官)と、習国家主席の発言を引用する形でコメント。まんざらでもない様子を見せた。
00年代にG2という表現が使われた際、負担の増加を嫌った中国は及び腰だった。しかし、中国はその後、米国に次ぐ世界2位の経済大国に伸長。人工知能(AI)など先端技術分野でも米国に迫る勢いだ。
香港中文大(深セン)の鄭永年・公共政策学院院長は25年12月のフォーラムで、かつてとはG2の持つ意味合いや米国の対中認識が変化していると指摘。トランプ氏の発言は米中が「対等」であることを示す「良い兆候」だとの見解を示した。
習政権にとって、トランプ氏が語るG2は、オバマ米政権時代に中国側から提唱し退けられた「新型大国関係」に近いものと映っているようだ。共通の利益を目指しつつ、互いの領土や主権に絡む問題には口出ししないという考え方で、実利優先、かつ台湾問題への関心が薄いとされるトランプ氏の思考とは親和性がある。
中国外務省の関係者は、今後の米国へのアプローチとして、トランプ氏が「台湾独立への明確な反対」を表明するよう促すことが必要だと語る。次の段階では「台湾への武器供与や軍事連携を止めるよう要求していく」という。
対米政策に自信をのぞかせる中国だが、足元では不動産不況や雇用の悪化が長期化。重要課題に掲げる内需拡大の先行きも不透明な中、米国との通商摩擦に体力を割く余裕はないのが実情だ。
今春にトランプ氏の訪中が実現すれば、17年11月以来となる。習氏も訪米を調整。秋には中国が議長国を務めるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が深センで開催される。中国側はここでもトランプ氏を招きたい考えとみられる。
習政権には、トランプ氏との定期的な対面により、米国と並ぶ「大国」としての中国を国際社会に印象付けるとともに、対米関係を安定させ、国力の消耗を最小限に抑える狙いもありそうだ。
〔写真説明〕トランプ米大統領(右)と中国の習近平国家主席(AFP時事)