景気回復継続へ正念場=実感乏しく、賃上げ焦点―2026年の日本経済展望

 緩やかな回復を続けてきた日本経済は2026年、さらなる景気拡大に向け正念場を迎える。トランプ米政権による高関税政策の逆風の下、中国政府の訪日自粛要請の影響も見通せず、先行きへのリスクが重なる。一方、足元では物価高で内需の柱となる個人消費がさえず、景気回復の実感が乏しい。力強い成長には、物価高騰の勢いに追い付く高水準の賃上げを実現できるかが焦点となる。
 25年の日本経済は物価高が家計を圧迫し続けた。前年からの「令和の米騒動」でコメ価格は歴史的な水準にまで高騰。政府備蓄米の放出で一時下落したが、新米の流通後は再び高値圏で推移している。
 物価高の波はコメ以外にも、食料品を中心に身近な物に広く及んでいる。消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く)は25年1月に前年同月比4.7%も伸び、年間を通じて3%以上の上昇が続いた。
 これに対し25年春闘では、平均賃上げ率が5.25%(連合集計)と2年連続で5%台の高い賃上げを実現した。しかし、物価上昇の勢いには届かず、物価変動の影響を差し引いた実質賃金は同年1月からマイナスが続いている。
 一方、これから本格化する26年春闘については、引き続き5%台の賃上げが予想されている。背景にあるのは好調な企業業績。トランプ関税が自動車メーカーなどの収益を圧迫するが、全体では堅調な業績が続いている。第一生命経済研究所の新家義貴シニアエグゼクティブエコノミストは「企業は賃上げ姿勢を弱めていない」と話す。
 また、帝国データバンクによると、食料品の値上げラッシュは26年春にかけて一時収束する見通し。政府の総合経済対策の効果を含めて物価高が緩和すれば、実質賃金が安定的にプラス圏で推移し、個人消費を底上げすることが期待される。
 20年5月を谷とする現在の景気拡大局面は、26年7月まで続けば戦後最長の「いざなみ景気」(02年2月~08年2月)の73カ月を超える。もっとも、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎主席研究員は「物価の伸びが鈍化しても価格が下がるわけではなく、物価高への警戒が薄れることはない」と指摘する。実感を伴った回復には、物価を上回る賃上げが不可欠となる。