能登半島地震の被災地では大みそかの31日、復興への思いを募らせながら、年越しに向けて準備をする人たちの姿が見られた。
石川県輪島市の商業施設で開かれている「出張輪島朝市」は年内最後の営業。地酒や和菓子などを販売する泉京子さん(76)は「朝から売り上げは良好」と笑顔を見せ、「この1年はあっという間だった。これからも店は続けていきたい」と意気込んだ。
地酒を購入した愛知県幸田町に住む会社員内田敏さん(52)は「(地震から)2年がたつ被災地を見に来た。家で待つ妻と飲みながら、能登の光景について話したい」と語った。
魚の干物店を出す中村幸子さん(64)は「これまでは復旧だったが、これからは復興だ。来年こそは目に見える復興を」と求めた。輪島市朝市組合の冨水長毅組合長(57)は「朝市の文化の灯を絶やさないよう、みんなで頑張っている」と前を向いた。
石川県珠洲市内のスーパーに買い物に来た仮設住宅に住む60代女性は、帰省した息子や孫らのためにお菓子などを購入。自宅は再建する予定だが完成時期は未定だといい、「焦ることなく着実に進めていきたい。来年はいい年になって」と願った。
同市で被災後の2024年1月中旬から営業を続ける銭湯「海浜あみだ湯」には、疲れを癒やそうと多くの利用客が訪れた。近くに住む漁師の60代男性は「2年たっても港は復旧工事中だ。早く元通りにしてほしい」と訴えつつ、「来年も自分が元気に漁をしていられればいい」とも話した。