乗りものニュースでは読者アンケートを実施。寝過ごさないために、終電間際の利用者はどんな工夫をしているのでしょうか。
かつてあった「もっと遠い」終点
「乗りものニュース」では、2025年12月4日(木)から12月12日(金)にかけて、読者アンケートを実施。鉄道の終電を逃した経験の有無や、たどり着いた駅などに加え、行ったことはなくとも「ここだけは絶対に寝過ごしたくない」という行先駅についても意見を募集したところ、多くの意見が寄せられました。
まず多かったのは、「中央線の高尾より先」(60代・男性・首都圏在住)という意見です。大月駅(11票)や高尾駅(10票)に加え、富士山麓電鉄との直通先である河口湖駅(5票)も挙がりました。
また、「湘南新宿ライン・上野東京ラインの両終点」(60代・男性・首都圏在住)という声も寄せられています。これは籠原駅(高崎線・5票)、宇都宮駅(宇都宮線・4票)、高崎駅(高崎線・3票)、小金井駅(宇都宮線・3票)など、東海道線方面ではなく高崎・宇都宮線方面の終着が多くを占めました。
さらに、東急田園都市線・東京メトロ半蔵門線の直通先である東武線の南栗橋駅(7票)については、「埼玉県の北にあるうえ周囲の友人たちが一度は経験してるため」(男性・首都圏在住)といった声や、「駅前に何も無い」(50代・男性・北関東在住)といった意見が寄せられました。多くの体験談やイメージを重ねることで、「絶対に寝過ごしたくない駅」としての印象が強まっているようです。
同じ埼玉の西武線に関しては、「今はもう池袋発西武秩父行きの準急はないのでまだいいのですが、現在の飯能もかなりガッツリ効きます。保谷から先は闇」(60代・男性・首都圏在住)と、東京23区外の区間全体を指す意見も見られました。
「昔中央線利用者でまだ深夜の中電があったときに立川から先に行かないようにしていた、小淵沢行きなので寝過ごしてしまうとやばい」(60代・男性・首都圏在住)
「宇都宮線沿線に住んでいます。今は『宇都宮』と答えますが、以前は黒磯まで行く電車がありましたので、恐ろしかったです」(50代・男性・北関東在住)
「過去に東海道線の大垣行きがあった頃は、静岡県内熱海より先には行きたくないと」(50代・男性・首都圏在住)
現在は設定されていませんが、かつては寝過ごしたくない「恐ろしい」行先が存在していたといいます。
なお、現在の宇都宮線下りは宇都宮駅を境に系統が分離されており、東京方面から最も遠くても「宇都宮行き」となっています。宇都宮~黒磯間へは乗り換えが必要となったため、以前のように想定以上の遠方まで運ばれてしまうケースはなくなったといえそうです。
また、東海道線東京発「大垣行き」については、「今はないけど、大垣夜行があったころには、おそらく小田原あたりに帰る予定だった人達が寝過ごして、(翌朝に)名古屋で慌てて新幹線に乗り換えるのをよくみました」(50代・男性・東北在住)という声もあり、寝過ごしてから慌てて引き返す光景は決して珍しいものではなかったようです。
寝過ごさないための策はあるのか
終電で寝過ごさないための工夫について意見を募集したところ、多くの回答が寄せられました。
「座席が空いても座らない」(60代・男性・首都圏在住)
「眠い時は立っておく」(10代・男性・近畿在住)
「いつもイヤホン(もしくはヘッドホン)をつけて降りる駅が近づいたらアラームが鳴るようにしている」(10代・男性・首都圏在住)
座席に座ると寝てしまうことが多いことから、疲れていてもあえて立ったままでいるという意見が多く見られました。また、目的駅までの所要時間を基準に、自分なりの目安を設けて座るかどうかを判断するという声もあります。寝ないための工夫としては、スマートフォンでゲームや動画を視聴する、アラームを設定するといった対策も挙げられました。
さらに、「特に金曜日夜は遅延が多いため、遅延で途中駅だった場合には所要時間鑑みてアラームをセットし直す」(30代・男性・首都圏在住)というように、遅延発生時にはその都度アラームを調整することで、寝過ごしを防いでいるという意見もありました。
乗車時の工夫についても、多くの声が寄せられています。
「遠い終点の行き先の電車には乗らないようにしている」(20代・男性・首都圏在住)
「深夜は車庫に戻ったり留置線に入る車両が多いので行きたい駅の前後近くの行先に乗ること」(10代・男性・首都圏在住)
終電間際には、留置線に入る列車が増えることから、終点まで行かない「中途半端な行先」(例:京浜東北線・蒲田行きなど)の列車も多く設定されます。「寝過したときのダメージを低減する為」(20代・男性・近畿在住)と、あえてこうした列車を選ぶことで、仮に寝過ごしてしまっても、必要以上に遠くまで運ばれずに済むといいます。
また、「カフェイン多めのコーヒーなどを飲むことで、乗車前から眠気を覚ましておく」(30代・男性・中部在住)という意見も寄せられました。一方で、寝過ごしの原因として特に多く挙がったのが飲酒です。
「だいたい酒飲んだ時に寝過ごしていたので程々に飲むか、酔いを覚まして寝ないようにしています」(60代・男性・首都圏在住)
「お酒を飲んだら手の打ちようがないと思ってます。寝過ごさないという気合だけです」(50代・男性・北関東在住)
飲酒量を抑える、こまめに時間を確認する、早めに切り上げるといった対策を講じる人がいる一方で、「気合」で乗り切るという意見まで、対策はさまざまです。想定以上に飲んでしまった場合には、ある程度酔いを覚ましてから乗車することで、寝過ごしを防いでいるという声もありました。
「あと1駅が危険」(60代・男性・首都圏在住)
「目的地の近くまで来ても気を抜かない」(60代・男性・首都圏在住)
寝過ごし経験者によれば、目的駅が近づいたことで安心し、気が抜けてしまった結果、そのまま通過してしまったケースも少なくないといいます。終電では、最後の最後まで注意が必要といえそうです。