積み増し算定、4基金が不適切=執行状況の考慮必要―会計検査院

 国からの補助金を原資に独立行政法人などに設置された基金のうち4基金は積み増し額の算定が不適切だったことが24日、会計検査院の調査で分かった。他にも実際の事業費が見込み額に比べて大幅に低い基金などが見つかった。検査院は執行状況の十分な考慮や規模の見直しが必要と指摘している。
 基金は、複数年度にわたって支出を見込む事業のために財源を積み立てている資金。2023年度末時点では、独立行政法人などに191基金が設置され、保有額は計18兆7969億円に上る。都道府県の設置分は、63基金で計1兆6188億円となっている。
 検査院が調べたところ、4基金では過年度の執行状況や保有額などを考慮せずに積み増し額が算定、交付されていた。独立行政法人の基金「畜産業振興資金」では、22年度末時点で約35億7700万円の使用予定がなかったが、同基金を所管する農林水産省は実情を十分に把握せず、23年度に約54億8000万円を交付していた。
 また、独立行政法人などの36基金では23年度の実際の事業費が見込み額に比べ大幅に低くなり、乖離(かいり)率が75%以上だった。都道府県の10基金では、効率的に活用されているかを検証するための定量的な成果目標がなく、22基金は事業の終了予定時期が未設定だった。
 基金の使用見込みが低い場合、国庫返納を検討することになっているが、事業終了前に返納するための規定が整備されていないものも20基金あった。