自民党は次期衆院選で候補予定者がいない「空白区」のうち、大阪の4選挙区について支部長を年内に選任する方針だ。大阪は日本維新の会の本拠地で、自民が支部長を公認候補として擁立すれば対抗馬となり得る。ただ、その維新と連立を組んだことに自民府連は不満を募らせており、執行部は一定の配慮を示す必要があると判断したもようだ。
大阪は全19選挙区。自民は昨年の衆院選で、公明党とすみ分けた4選挙区を除く15選挙区で維新に全敗したが、既に11人の支部長を決定。23日に古屋圭司選対委員長ら幹部が集まり、2、11、14、17の4選挙区の支部長について議論する。選対関係者は「何とか年内に決めたい」と語った。
大阪は維新の支持基盤が厚く、「自民が勝てそうなところはない」(閣僚経験者)との見方が大勢。それでも支部長を選ぶのは、府連が候補擁立の既成事実化を狙って早期に決定するよう求めたためだ。
21日には大阪市内で開かれた府連大会に鈴木俊一幹事長が出席。「維新と大変厳しい関係にあることを承知している。政治の安定を図るために連立の枠組みを変えたことに理解をお願いしたい」と呼び掛けた上で、「府連をこれからも応援する。幹事長室の扉は常に開いている」と寄り添う姿勢を示した。
これに対し、維新は受けて立つ構えだ。藤田文武共同代表は20日、大阪市内で記者団に「選挙区のすみ分けとか、選挙協力の話は一切していない」と明言。吉村洋文代表も「維新の公認候補を立てる」と語った。
ただ、11区の現職は中司宏幹事長、14区は青柳仁士前政調会長、17区は馬場伸幸前代表と有力議員がそろう。自民が候補を擁立すれば政権内のあつれきが拡大したり野党が漁夫の利を得たりする可能性があり、今後の火種としてくすぶりそうだ。
〔写真説明〕与党党首会談を終え、共同記者会見する高市早苗首相(左)と日本維新の会の吉村洋文代表=16日、国会内