政府は22日、2026年度予算案の一般会計歳出総額を122兆円前後とする方向で調整に入った。25年度当初の115兆1978億円を上回り、当初予算として2年連続で過去最大となる。財源不足を補う新規国債発行額は、30兆円を超えないよう抑える方向で調整しているが、25年度当初の28兆6471億円は上回る見通しだ。
診療報酬引き上げなどで社会保障費が拡大するほか、金利上昇に伴い国債の元本返済や利払いに充てる国債費が膨らむため。税収は84兆円程度を見込む。政府は今後、残る課題について閣僚折衝を行い、26日の閣議決定を目指す。
「責任ある積極財政」を掲げる高市政権は危機管理投資を成長の柱に据え、企業活動を後押しする「戦略的財政出動」を行う考え。一方、租税特別措置や補助金の見直しなど歳出改革に取り組み、「予算全体のメリハリ付けを行う中で重要施策に重点化」(高市早苗首相)するとしている。
ただ、歳出の3割を占める社会保障では、高齢化に伴う自然増に加え、業界団体などが物価・賃金上昇の反映を強く要求。政府は診療報酬について、医師や看護師らの人件費などに当たる「本体」部分を3.09%引き上げる方針を固めた。24年度の前回改定(プラス0.88%)を大きく上回る。薬価は0.8%程度引き下げるが、全体の膨張は避けられない。
国債費も長期金利の上昇に伴う利払い費増加を受けて31兆円程度となる見込みで、25年度当初の28兆2179億円を上回る。このほか、26年度予算案には高校授業料や小学校給食費の無償化も盛り込む。防衛費は当初予算では過去最大の9兆円規模に上る見通し。
インフレを本格的に考慮した初の予算編成となることから、他の既存経費も増加が見込まれ、財源不足は国債発行で賄うことになる。