日本のNGOが医療支援=豪雨死者1100人超に―インドネシア

 【アチェタミアン=インドネシア=時事】インドネシア国家災害対策庁によると、11月末に西部スマトラ島を襲った豪雨の死者数は22日時点で1106人となった。被害が激しく復旧が難航している地域では、避難生活が長期化する中、日本のNGOが医療支援を行っている。
 88人が犠牲となった同島北部アチェ州アチェタミアンに今月上旬から医療チームを派遣しているのは、岡山市のNGO「AMDA」。1984年の設立以来、国内外の災害や紛争により影響を受けた地域で医療サービスを提供しており、インドネシアにも支部を持つ。
 アチェタミアンでは水道が復旧しておらず、地域の拠点病院も被災したため衛生環境が悪化。21日に被害が大きかった川沿いの集落でインドネシア人医師を含む診療拠点を設けると、けがの治療や血圧測定のために住民が詰め掛けた。
 現地では、はだしやサンダル履きで復旧に当たる作業員や、マスクをせず乾いた泥が付いた家財を運び出す住民の姿が多く見られた。医療支援を受ける人には、泥の中のガラスで足に切り傷を負ったり、土ぼこりを吸い込んで喉の痛みや頭痛を訴えたりするケースが多いという。被災による心的外傷後ストレス障害(PTSD)の恐れもあるため、医療チームは今後、精神面のケアにも力を入れる。
 看護師の菅原久美子さん(46)=長野県在住=は8日に現地の医療チームに合流し、23日までの予定で連日支援に当たっている。時事通信の取材に「たくさんの人を助けることはできないが、一人でも多くの人の支えになることができれば」と語った。 
〔写真説明〕洪水で家屋が流された川沿いの集落=19日、インドネシア西部アチェ州アチェタミアン
〔写真説明〕医療支援を行う看護師の菅原久美子さん(左)=21日、インドネシア西部アチェ州アチェタミアン