19日決定した与党の2026年度税制改正大綱では、1万円以下の少額輸入品に消費税を課税することを盛り込んだ。現在は納税の事務負担を軽減するため免除されているが、中国系電子商取引(EC)サイトの利用拡大で輸入が大幅に増加。国内事業者に競争上の不利が生じている状況を改善する。また、反ダンピング(不当廉売)関税の発動対象に「迂回(うかい)輸出」を追加する。
中国系ECプラットフォーム「SHEIN(シーイン)」や「Temu(テム)」の利用拡大を背景に、少額貨物の輸入件数は19~24年で約5倍に急増した。免税措置を得られる国外事業者は、国内事業者に比べて販売価格を抑えることが可能。5月の先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議では共同声明で「リスクに対処し得る方法を探求する」と表明した。
税制改正大綱では、28年4月から国外事業者にも原則、納税義務を課す方針を示した。取引の合計額が50億円を超えるECプラットフォーム事業者には納税義務を代行させる。
また、個人輸入品の課税価格を海外価格の6割とする特例を廃止する。特例は海外旅行の土産物に掛かる関税や消費税の負担を軽くするために設けられた。しかし、現在特例が適用されている多くを中国などから輸出される少額貨物が占めているという。
一方、第三国を経由した迂回輸出を巡っては、不当に安い価格で輸出している製品に追加で課税する不当廉売関税の適用を逃れようとしているとの指摘がある。こうした「抜け穴」をふさぐため、第三国での最終加工や、わずかな加工を施すことによる品目変更などが確認されれば、不当廉売関税を適用する。さらに、迂回輸出の認定にかかる調査期間を現行制度より短縮することで、迅速な対応につなげる。