“ドイツの至宝”とも称されるフロリアン・ヴィルツにとって、今シーズン前半戦はやや難しいものとなっている。
2020年1月にケルンの下部組織からレヴァークーゼンへ加入したヴィルツは、4カ月後に17歳でトップチームデビューを飾る。シャビ・アロンソ監督(現:レアル・マドリード)のもとでは「10番」を背負い、ブンデスリーガ史上初の無敗優勝およびDFBポカールとの2冠達成に大きく貢献。公式戦通算197試合出場57ゴール65アシストという成績を残し、今夏には1億1600万ポンド(約242億円)と報じられた移籍金でリヴァプールへ活躍の場を移した。
大きな期待とともにイングランドでのキャリアをスタートさせたヴィルツだが、チームの不振も重なりここまで思うように結果を残せていない。プレミアリーグ特有の激しいフィジカルコンタクトに苦戦する場面も見られ、ここまで公式戦21試合に出場しているものの未だネットを揺らすことができていない。
それでも、チャンピオンズリーグ(CL)ではここまで3アシストをマークし、今月3日に行われたサンダーランド戦では巧みなテクニックから左足のシュートでオウンゴールを誘発。目に見える数字はついてきていないが、新天地に適応しつつある状況だ。
現役時代にシャルケで長く活躍し、FIFAワールドカップブラジル2014の優勝メンバーでもある元ドイツ代表DFベネディクト・ヘヴェデス氏はイギリスメディア『スカイスポーツ』にて、自国リーグから国外リーグへ移籍した選手が即座に活躍することは容易ではないと指摘。その上で、ヴィルツについて次のように語っている。
「レヴァークーゼンで素晴らしいプレーを見せていたフロリアン・ヴィルツがその好例だ。ブンデスリーガではとても素晴らしかったが、レヴァークーゼン時代のような完全なサポートやポジションを移籍したクラブで最初から受けられるとは限らない。再びその環境を作り上げなければならないからね。しかし、彼は非常に高いクオリティと素晴らしいメンタリティーを兼ね備えている。シーズン後半のリヴァプールでその実力を発揮してくれると確信している」
また、ヴィルツが適応に苦戦した背景については「最初から最高のパフォーマンスを発揮できなかったことには少し驚いたが、彼はまだ若いし、人生で初めて国とクラブを変えたんだ。レヴァークーゼンでは誰もが全面的に信頼していたが、今はリヴァプールで一歩ずつ成長していく必要がある」とコメント。開幕まで半年程となったFIFAワールドカップ26を念頭に「最高のパフォーマンスを取り戻してもらう必要がる。現時点ではピークに達していない。調子を取り戻し、最高のパフォーマンスを発揮し、ワールドカップで特別なものを生み出してほしい」と期待を口にした。