鉄道の線路をまたぐ「跨線橋(こせんきょう)」の点検業務を巡る入札で談合をしていたとして、公正取引委員会は19日、JR東海(名古屋市)など計6社の独禁法違反(不当な取引制限)を認定し、再発防止を求める排除措置命令を出した。JR東海を除く建設コンサルタント5社には約1億円の課徴金納付も命じた。
公取委が、旧日本国有鉄道(国鉄)を含め、JRに独禁法違反で行政処分を出すのは初めて。
建設コンサル5社は、JR東海子会社「ジェイアール東海コンサルタンツ」(名古屋市)、「大日コンサルタント」(岐阜市)、「トーニチコンサルタント」(東京都渋谷区)、「日本交通技術」(台東区)、「丸栄調査設計」(三重県松阪市)。
公取委によると、6社は遅くとも2021年2月以降、東海地方の自治体などが発注するJR東海管理の跨線橋の点検業務を巡る入札で、事前に受注予定企業を決めていた。JR東海が入札予定の点検業務に関するリストを5社に提供。各社の受注希望を取りまとめ、共有していたという。
公取委は、JR東海は入札に参加していないものの受注予定企業の決定に関与していたと判断した。違反認定された入札は111件で、1件当たりの平均受注金額は約1200万円だった。
12年12月に発生した中央自動車道笹子トンネル(山梨県)の天井板崩落事故を受け、橋などは5年に1度の点検が義務付けられている。