政府・与党は16日、消費税のインボイス(適格請求書)制度で設けられている小規模事業者向け負担軽減の特例措置について、大幅に見直す方向で最終調整に入った。発注者がインボイスを発行しない免税事業者から仕入れた場合、2026年10月から2年間、仕入れにかかった消費税額の7割を納税額から控除することを認めるのが柱。26年10月からの控除率は従来、現在の8割から5割に引き下げることになっていた。
また特例措置としての控除が適用される期限も29年9月末から2年延長する。月内に取りまとめる26年度税制改正大綱に盛り込む。控除率を縮減する方向は維持しつつ、引き下げのペースや幅を緩やかにし、小規模事業者への激変緩和を図る。
控除率については、26年10月から7割に引き下げた後、28年10月から5割、30年10月から3割と段階的に引き下げる。その上で、31年10月以降、特例措置を廃止する。
外国法人グループが課税逃れに悪用しているとの指摘もあり、一つの免税事業者からの仕入れにつき年10億円までとしていた適用上限額を、年1億円に引き下げる。
23年10月に始まったインボイス制度では、消費税率や税額などを記したインボイスを受け取ることで、納税額から仕入れや経費に支払った消費税分を差し引く「仕入れ税額控除」が受けられる。特例措置は、売上高が年1000万円以下でインボイスを発行しない免税事業者が取引から排除されないように導入され、日本商工会議所などが延長を要望していた。
一方、小規模事業者がインボイスを発行する「課税事業者」に転換した際、事務負担を軽減するための経過措置も見直す。消費税の納税額を、売上時に受け取る消費税額の2割に抑える特例措置を、個人事業主については28年の申告分まで2年間延長する。納税額は3割に引き上げる。