「安全の保証」米関与焦点=ウクライナ和平案、修正大詰め

 【ベルリン時事】ロシア寄りとされた米主導のウクライナ和平案に、ウクライナや欧州の意向を反映させる修正作業が大詰めを迎えている。ウクライナは米国から領土問題での譲歩を迫られる一方、停戦後の再侵攻を防ぐ「安全の保証」に対する米国の明確な関与を要求。ただトランプ米政権が受け入れるかは、依然不透明だ。
 DPA通信によると、米国とウクライナの代表団は、14日にベルリンで協議。15日には、ウクライナのゼレンスキー大統領と欧州各国の首脳が、ベルリンに集まり、米国との間で「安全の保証と領土(問題)の選択肢に関する共通の立場」(仏高官)を確認したい考え。米国は、ウィトコフ中東担当特使を派遣する見通しだ。
 仏大統領府筋は12日、議論の焦点について、「再侵攻を企てれば、米国(の軍事力)にも立ち向かわねばならないと、ロシアにはっきりさせておくことだ」と指摘した。また米国は、ウクライナ東部ドネツク州に「非武装地帯」を設けることを提案。ロシアの占領を固定化するものだが、欧州内では、ウクライナは条件次第で受け入れざるを得ないとの見方が強まっている。
 修正和平案が固まれば、米国を介したロシアとの協議に局面が移るが、早期の合意は見通せていない。非武装地帯の構想に関しては、早くも駐留部隊の派遣元を巡り、ロシアとウクライナの立場の隔たりが露呈している。
 一方、欧州連合(EU)は18日からの首脳会議で、ロシアの凍結資産を担保とした900億ユーロ(約16.5兆円)規模のウクライナへの融資の合意を目指す。同国の継戦能力を高め、ロシアに対する交渉上の立場を強める狙いだ。フォンデアライエン欧州委員長は、今週が「ヤマ場になる」と強調した。 
〔写真説明〕トランプ米大統領(写真右)とウクライナのゼレンスキー大統領(AFP時事)