2025年11月18日にアメリカの独立系シンクタンクである米中経済安全保障委員会(USCC)が、中国とフランス製「ラファール」戦闘機に関するレポートを公表して話題となっています。
空自初のSTOVL機が初一般公開
12月7日に宮崎県の航空自衛隊新田原基地において最新鋭戦闘機F-35B「ライトニング II」が展示され、その内の1機は機体の記念塗装機として、一部に軍用機らしからぬハデな模様でドレスアップされており、来場者の注目を集めました。
機体は「ライトニング」のニックネームに因んで、稲妻が走る模様が描かれ、宮崎県の地図を模った新田原基地のロゴや文字などが入れられていました。
航空自衛隊では陸上機型のA型をすでに青森県の三沢基地と、石川県の小松基地に配備しています。しかし、ここ新田原基地に配備されたB型は、STOVL(短距離離陸垂直着陸)と呼ばれる機体で、短い滑走路や小型空母等からの離着艦が可能であり、海上自衛隊の「いずも」型護衛艦での空母的な運用がされると注目されています。今回の記念塗装機として目立つ展示を行った理由もこの辺の事情があったのかもしれません。
なお、F-35はレーダーに見えにくいステルス機であり、相手から照射されたレーダー波の反射を抑えるための処置が機体表面に施されています。そのため、機体表面の塗装には専用の塗料が必要であり、今回のF-35Bのような記念塗装機はステルス性に影響を与えるように思えます。イベントの顔として航空祭を盛り上げる特殊仕様にするのは問題ないのでしょうか。
「終わったらすぐに戻せます」え、なぜ?
結論からいえば、今回の「記念塗装」機は、航空自衛隊の本来の任務にはなんら影響の無いものです。じつはこの機体表面の図柄は塗装ではなく、図柄が印刷されたシールを貼ったものになります。
塗装作業と違って、シールの場合は貼り付け作業が短時間で終わり、新田原基地の航空祭が終わると速やかに剥がされてすぐに任務に復帰できるといいます。この状態で飛行することもできず、まさに航空祭展示限定のインスタントな記念塗装機です。そもそも塗装していないのですから、記念塗装機という名称も厳密にいえば正しくないとも言えます。
これまでにも自衛隊では航空祭や部隊の記念行事等に合わせて記念塗装機を製作してきましたが、塗装の場合は機体表面のクリーニングや色数に応じた塗装と乾燥作業が必要であり、その為に機体が一定のあいだ任務で使えなくなります。
なお、F-35に特別塗装を施すことは不可能ではありませんが、通常の塗料で塗装するとステルス性に影響が出るために、塗装する場合は特別な塗料を用意する必要があります。
現状、新田原基地のF-35B配備数はわずか3機と少なく運用する部隊も「臨時F-35B飛行隊」として人員と組織の立ち上げを行っている段階にあります。部隊として多忙な時期に、記念塗装機の準備で訓練に支障を出すわけにもいかず、それが今回のインスタント「記念塗装」機に繋がったのでしょう。