政府・与党は12日、市販薬と成分や効能が似た「OTC類似薬」の患者負担見直しを巡り、患者に配慮して保険適用を維持した上で、一部の薬を対象に定率の追加負担を求める方向で調整に入った。維新は大幅な医療費削減に向け、保険適用の原則除外を求めていたが、患者負担が急増するため断念した。追加負担率や対象となる薬剤について詰めの協議を続け、月内の合意を目指す。
医師から処方を受けるOTC類似薬は、湿布や保湿剤、花粉症薬など比較的軽い症状向けの品目が多い。診察料などと同様に保険適用され、患者の自己負担は1~3割で済む。
政府・与党はOTC類似薬について、「保険外併用療養費」と呼ばれる仕組みを活用し、一定率の追加負担を患者に求める。追加負担として、かかった薬剤費の「4分の1」「3分の1」「2分の1」といった案がある。難病や慢性疾患を抱える患者への配慮も検討する。来年の通常国会に健康保険法改正案を提出する。
追加負担を求める薬剤の範囲は、自民と維新で協議する。維新は約1000成分ある「市販薬と同じ使い方ができる医療用医薬品」を対象にするよう求めている。一方、厚生労働省は副作用などのリスクの低い医薬品から見直しの対象にするべきだとの構えだ。健康増進のために特定の市販薬を購入した場合に税負担を軽くする「セルフメディケーション税制」の対象となる約20成分からの段階的な導入を提案している。